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スペースプレーン()とは、航空機と同様に特別な打ち上げ設備を必要とせず、自力で滑走し離着陸および大気圏離脱・突入を行うことができる宇宙船。広義の意味として、スペースシャトルのように翼を持ち、飛行機のように滑空して着陸する機体全てを指すこともある。 == 概要 == 宇宙空間までの輸送・移動手段としては、使い捨て型ロケットが使用される事が多いが、これは煩雑な打ち上げ設備を必要とし、発進箇所が限られるという制約がある。例外はスペースシャトルであるが、着陸については通常の滑走路を使用するものの、打ち上げについては使い捨て型ロケットと同様の設備を必要としている。 スペースプレーンにおいては、通常の航空機と同じように滑走路から離陸し、そのまま大気圏を離脱、そして大気圏再突入後は再び滑走路に着陸することが考えられている。このため、煩雑な打ち上げ設備を必要とせず、滑走路と若干の支援設備のみで運用が可能となり、打ち上げコストの減少や運用可能地点の増加が見込まれる。また、飛行機のような運用を行う発想から、一般的に翼を有するデザインをしている。かつ、ほとんどの場合、再使用型宇宙往還機でもある。 構想としては、1930年代にドイツにおいてゼンガー計画として構想されていた。1980年代にはアメリカ合衆国で極超音速旅客機のX-30が国家構想として発表されたが、構想のみに終わっている。 技術的特徴として、大気圏内においては(空気吸い込み型)エンジンを利用することが挙げられる。通常のロケットでは燃料となる液体水素以外に酸化剤として液体酸素等を自重に含むため、ツィオルコフスキーの公式により一層の性能向上は難しい。そこで、酸化剤を全て搭載せず、ジェットエンジンのように空気中の酸素を酸化剤として使用することが考えられている。また、大気圏内飛行のために主翼もしくはリフティングボディなどの揚力発生機構を有する。 かつては、実現すれば宇宙飛行の大幅なコスト削減に繋がるとして期待されていたものの、スクラムジェットエンジンの開発が難航しており、2009年現在の技術では、飛行速度・高度に応じて何種類ものエンジンを搭載しなければならず、また大気圏外ではロケットエンジンも必要不可欠である。そして、実際に作成された部分再使用型宇宙往還機のスペースシャトルが、使い捨て型ロケットよりも高コストであったという結果もあって、完全再使用型宇宙往還機のスペースプレーンに対しても懐疑的な見方がされている。 スペースシャトルの後継の有人宇宙船に、使い捨て型ロケットを用いるカプセル型宇宙船のオリオンが、またソユーズの後継機として構想されたクリーペルが再使用型宇宙往還機ではあるものの、打ち上げ自体は使い捨て型ロケットを用いて行われる形となったように、スペースプレーンの実用化の目処は全く立っていない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「スペースプレーン」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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