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スミスチャート(Smith chart)とは、電子工学において伝送路のインピーダンス整合を設計する際に用いられる、複素インピーダンスを示す円形の図表である。1939年にRCAのエンジニアでアマチュア無線家(コールサイン 1ANB)でもあるフィリップ・スミスにより発明されたとされる。発明の理由をスミス氏は「計算尺が使えるようになった頃から、数学的な関係を図で表現することに興味を持っていた」と説明した。スミスの提案の2年前、日本無線電信株式会社の水橋東作は1937年(昭和12年)に発表した論文中第1図で、「反射係数の(及)に対する円線図」という正規化インピーダンスに対するスミスチャートと等価の計算図表を提案し、この「便利な図」を用いてグラフィカルにインピーダンスの計算ができることを示した〔水橋東作, "四端子回路のインピーダンス変成と整合回路の理論," 電気通信学会雑誌、第12号、pp.1053-1058 (1937).〕。このため日本国内では、スミスチャートは''水橋チャート''または''水橋-スミスチャート''と呼称するのが妥当であるとの意見が存在する〔岡村史良, "スミスチャートは日本人の独創ではないか," 電気通信学会雑誌、第8号、pp.768-769 (1959).〕〔伊藤健一「インピーダンスのはなし」日刊工業新聞社 、p.26 (1999) ISBN 4-526-04463-6〕。 スミスチャートの基本は次の式で示される。 : は複素反射係数(散乱係数''s''またはとも呼ばれる)、は伝送路の負荷の正規化インピーダンスで、に等しい。ここで、 :は負荷のインピーダンス :は伝送路の特性インピーダンス である。 この図自体は複素平面であり、水平軸は複素反射係数の実数部、垂直軸は虚数部を表す。また、各円上はインピーダンスの実数(抵抗)成分が一定、上下に曲がった曲線上(実は円弧)はインピーダンスの虚数(リアクタンス)成分が一定である。図の中心は負荷と伝送線路が整合された場合に対応する。図の周囲は100%の反射に対応し、周囲に書かれた角度は反射係数の位相を0から180度(半波長)で示す。 インピーダンスではなくアドミタンスを表すスミスチャートをアドミタンスチャートと言う。アドミタンスチャートはスミスチャートを180度回転して作成される。スミスチャートにアドミタンスチャートを重ね合わせたものをイミタンスチャートと言う。 コンピュータの時代になり、紙のスミスチャートが問題を解くために使われることは少なくなったが、高周波の複素インピーダンスを直感的にわかるかたちで示す方法として、非常に有用な方法である。また、電磁気学(特に電波工学)を学ぶ学生には、通常はこの図表を用いた演習問題が課されており、依然として重要な教育手段である。 ネットワークアナライザと呼ばれる計測器では、スミスチャートの形で結果を表示する。ネットワークアナライザは、現代の高周波回路の設計に欠かせない計測器である。 == 参考文献 == # Field and Wave Electromagnetics, David K. Cheng, Addison Wesley, ISBN 0-201-52820-7 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「スミスチャート」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Smith chart 」があります。 スポンサード リンク
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