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『スーパーの女』は、1996年の日本映画。伊丹十三による脚本・監督作品。原作は安土敏の「小説スーパーマーケット」。 スーパー大好き主婦が幼馴染の経営するダメスーパーマーケットを立て直していくというサクセスストーリーである。 伊丹十三にとっては前二作(『大病人』『静かな生活』)が興行的に失敗に終わったため、「この映画では失敗が許されない」と覚悟をもって臨んだ作品であったが、結果的に大ヒットを記録した。第20回日本アカデミー賞優秀作品賞などを受賞。 ==あらすじ== おかっぱ頭のスーパーマーケット大好き主婦・井上花子は、スーパー「安売り大魔王」で小学校時代の幼馴染・小林五郎とバッタリ再会する。花子は「もう一つスーパーを見て欲しい」と五郎に言われ、ついて行った先のスーパー「正直屋」のダメぶりを五郎に愚痴るものの、迂闊にも五郎がその「正直屋」のオーナーだった。五郎は、「安売り大魔王」に業績で水をあけられた腹いせに、酒に酔った勢いで「正直屋」を日本一にする夢を花子に語った。 五郎は花子の主婦としての視点から「正直屋」の悪いところを直すべくスーパーに入社を勧め、一度断られるが、花子は「安売り大魔王」の傲慢な商売振りにカチンときて「正直屋」に入社し、「安売り大魔王」と闘う事になる。 最初はスーパーのレジ係として勤務した花子だが、職人気質な人達がチーフに就いている各部門で問題が続発し、特に精肉部・鮮魚部とは事あるごとに対立する。やがて実績を買われて副店長に昇進した花子は顧客の意見を聞き反映する試みを行い、製品のリパック(店頭に置いてあった製品を回収し再度ラップし、日付のラベルを貼り替えてまた店頭に置く事)の禁止を店舗会議で直訴し五郎も承諾させ、正直屋の商売方針を改善。徐々に来る客も増えていった。かつて五郎が花子に語った「正直屋」を日本一にする夢を、利益や規模ではなくお客様への信用の面で目指すことになった。 青果部は値引きシールの作戦や勉強会により、早くも売り場が改善された。 鮮魚部のチーフは専務の命令により、リパックを禁止されて売れ残った魚を毎日捨てさせられた。さらに花子の指摘により、職人の見栄のために売れもしない高い魚を飾ることをやめさせられるばかりでなく、生簀で魚を見せびらかすことも指摘され生簀を解体する現場を目撃して逆上し、自ら生簀をぶち壊したりもした。 惣菜部はおにぎりの中身が偽装だったのを仕入れ業者に指摘したほか、惣菜のバイキング方式を採り入れたことが評判になった。 精肉部は内部会議で古くなった肉ではなく、新鮮な肉を挽き肉にする方針に切り替える反面、チーフは出入りの屑肉処理業者を使い店に納入されている高級国産牛を不正に横流しし、私腹を肥やしていた。ある晩、精肉部助手の報告を受け、花子と五郎は屑肉処理業者をとり押さえ、精肉部のチーフを問い詰める。 これら一連のスーパーの売場や作業場の環境を改善する動きにより、買い物客ばかりでなく、「正直屋」で働くパートの人たちも不正な商品を扱わないで済むようになり、安心して自分たちのスーパーで買い物ができるようになっていった。 旗色が悪くなった「安売り大魔王」の社長は、以前から内通していた「正直屋」の店長に「必要な人員をごっそり引き抜いてくるように」と言い、ある朝、「正直屋」の朝礼で店長がその話を持ち上げる。当初は先行きの不安感から店長側につく者が多かったが、花子が「安売り大魔王」の現状と「正直屋」の展望の話をし、スーパーの売り手としての自覚を持った店員は花子の説得で大半は店に残る決意をする。その中には花子と販売戦略の違いから対立し、心替りした鮮魚部のチーフもいた。 結局、正直屋を出る事になったのは店長と精肉部のチーフの他数名だけだった。閉店後、従業員と食事に行っていた花子たちは精肉部のチーフと店長が店の肉を持ち出そうとしている一報を聞き、阻止しようと店に向かうが手違いから店長たちの乗る冷凍車に花子は閉じ込められてしまう。トラックをヒッチハイクした五郎と店長たちの冷凍車とのカーチェイスを繰り広げたのち、警察も応援に加わり店長達を追い詰める事に成功し、店長と精肉部のチーフは逮捕された。行き着いた先がとある漁港で正月も漁に出る事を知った花子は漁師の好意で初荷を全て買取る契約をする事に成功した。 年が明けて1月2日。正月商戦において盛況に沸く正直屋は閑古鳥の鳴く安売り大魔王に見事に勝利を収めるのだった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「スーパーの女」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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