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セルフ・カバー : ウィキペディア日本語版
セルフカバー

セルフカバー(self-cover)は、日本のポピュラー音楽の分野で使われる和製英語で、主にシンガーソングライターが過去に他人へ提供した曲を自分自身で演奏、歌唱することによって発表するもの、また広い意味では過去に自分で製作した曲を編曲し直して自らの演奏と歌唱によって発表することである。
和製英語なので英語圏では通用しない。英語圏で"self-cover"は本や雑誌など印刷物の表紙と中身が同じ素材であることを意味する〔Self-cover - Definition and More from the Free Merriam-Webster Dictionary 〕〔Self cover explained in under a minute 〕。これを日本語では共紙(ともがみ)、より厳密には共紙表紙といい〔共紙とは - 製本用語集 | 製本のひきだし 〕、中身と表紙を別に印刷する"plus cover/separate cover"と異なり安価に印刷できる利点があるため〔Book Printing Lingo: What does “Self Cover” mean? « Formax Printing 〕、宣伝用の薄い冊子や新聞によく用いられる。
== 解説 ==
日本のシンガー・ソングライターによるセルフカバーで特に有名なものでは、SMAPがヒットさせた「世界に一つだけの花」を後に同曲のプロデュースを手掛けた槇原敬之が自身の歌唱で発表したもの、イギリスの人気グループ・ブルーが歌った「THE GIFT」を作詞・作曲した槇原敬之自身が「僕が一番欲しかったもの」として発表したものや、松本英子の「Squall」を製作者の福山雅治がリアレンジして自身で発表したものなどが挙げられる。
今日では、作詞家のみ、作曲家のみといった者が楽曲提供を行うことが減ってきたため、このセルフカバーも増える傾向にある。有名シンガーソングライターが曲を書いたということでのヒットと、製作者自身の歌唱によるヒットという二重の利益が見込める点でも需要がさらに高くなっているといえる。
また、今日ではあまり見かけないもののサザンオールスターズ大滝詠一のようにライブのみで自身の提供曲を歌う場合もある。ただし、この場合はソフトウェア化の希望が殺到するのでアーティストの意向とは別に大半が後に音源化されてしまうという状況も生んでいる。このことについてサザンの桑田佳祐は、自身の作った「恋人も濡れる街角」のセルフカバーのソフト化の希望が多いということで、「(中村)雅俊のライブ行けよ〜!」とラジオでコメントしている。
テレビ番組などでセルフカバーの定義を説明する際、過去の自分のヒット曲を再び歌い直すことと紹介されることがあるが、それは正確にはリメイクであり、本来のセルフカバーの意味は提供曲を自分で歌うことである。過去の例を見ると、1980年代から2000年代まで浜田省吾がバラード・コレクション4部作として、セルフカバー・アルバムを発表している。一方、Mr.Children桜井和寿が自身の楽曲をBank Bandとして再演する等のケースが増えてきたため、定義が次第に曖昧になりつつある。
作詞者と作曲者が違う場合、作詞者と作曲者が別々にセルフカバーする場合がある。有名な物としては、SMAPの「夜空ノムコウ」を作詞者のスガシカオ、作曲者の川村結花がそれぞれセルフカバーしている。
セルフカバーは最初のリリースから一定期間経過してから行うものという認識があるが、DEENの「このまま君だけを奪い去りたい」のリリースから1か月後に、作詞家の上杉昇が所属するWANDSがセルフカバー曲を収録したアルバムをリリースするというケースもある。
セルフカバーの歴史としては概ね、以前のような作曲家・歌手の分業制が崩れてから行われる例が目立っているが、昔の作曲家においても古賀政男のようにセルフカバーアルバムを発売した者もいる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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