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タイタニック号に乗船していた動物たち : ウィキペディア日本語版
タイタニック号に乗船していた動物たち[たいたにっくごうにじょうせんしていたどうぶつたち]
本項では、処女航海中に氷山と衝突して1912年4月15日に沈没したタイタニック号に乗船していた動物たちについて記述する。タイタニック号には、鳥類などが数多く乗船していた〔ペレグリーノ、pp. 66-69.〕〔タイタニック号に乗っていた犬たち wanwans 2014年3月16日閲覧。〕〔Titanic: The Forgotten Passengers slideshare.net 2014年3月24日閲覧。〕。そのうち事故から生還したのは飼い主によって保護されて救命ボートに乗り込むことができた3頭の犬のみで、他の動物たちはタイタニック号とともに行方不明となった〔〔〔The Canine Casualties of the Titanic Disaster TIME.com 2014年3月24日閲覧。〕。タイタニック号に乗船していた動物たちについてはさまざまなエピソードが語り伝えられ、それらを題材としたフィクション作品も存在する〔〔〔Ann Elizabeth Isham Encyclopedia Titanica 2014年3月24日閲覧。〕〔タイタニックの犬ラブ 氷の海に沈んだ夫人と愛犬の物語 ハート出版ウェブサイト、2014年3月24日閲覧。〕〔関、pp. 3-5.〕〔ロード、pp. 234-235.〕。

== タイタニック号の動物たち ==
; メス猫「ジェニー」と子猫たち
タイタニック号には、「ジェニー」(Jenny)という名のメス猫が船乗り猫(:en:Ship's cat)として乗り込んでいた〔〔。この猫には以前タイタニック号の姉妹船オリンピック号に乗り込んでいたときに、ソレント海峡で巡洋艦ホークとの衝突事故に遭遇したが生き延びた経験があった〔。タイタニック号がサウサンプトンから処女航海に出航する1週間前、ジェニーは一腹の子猫を出産した〔〔。ジェニーと子猫たちは、オリンピック号からタイタニック号の船乗り猫として転属となった〔。
ジェニーと子猫たちはタイタニック号の調理室に住んで残飯をエサとして与えられ、出没するネズミ退治に能力を発揮した〔〔。ジェニーは調理室の皿洗いスタッフを務めるジムという男性に懐いていて、彼のそばに子猫たちを寝かせていた〔。客室係の〔ヴァイオレット・ジェソップは当時24歳で、救命ボート16号艇で生還を果たした。ヴァイオレットは1916年11月12日にブリタニック号に乗船していて触雷事故に遭遇したが、重傷を負いながらも生き延びている。〕は「ジェニーは常にジムの賛同を求め、そしてジムのほうもつねに温かく献身的な愛情を注いでいました」と後に書いている〔。ジムと猫たちは、タイタニック号の沈没に巻き込まれて行方不明になった〔。『タイタニック 百年目の真実』(原題:''FAREWELL,TITANIC HER Final LEGACY''、2012年)の著者チャールズ・ペレグリーノはヴァイオレットから見たジムの人柄について、「たとえ救命ボートに近づけたとしても、自分のことはそっちのけで、ジェニーと子猫をバスケットに入れて女性か子供にたくし、それが彼の見せた最後のやさしさになったにちがいない」と記述している〔。
; 犬たち
犬たちは、乗客のペットとしてともに乗り込んできた。一等船客の一部はおそらく乗組員の黙認のもとにそれぞれの船室に犬を連れて行ったが、残りのほとんどは船上のF甲板に設置された犬小屋に収容された〔。船大工のジョン・ハッチンソンは、犬たちの快適な生活に対して責任があった。犬小屋に収容された犬たちは、客室係かベルボーイのうち1人に連れられて船尾楼甲板で毎日運動していた〔。
小型の愛玩犬に対して、一等船客の1人でアメリカ合衆国の高名な画家(事故により死亡)は、タイタニック号の最後の停泊地となったアイルランドの港町クイーンズタウンから否定的な感情を込めた手紙を書き送った。

犬の飼い主たちは、4月15日の朝にタイタニック号の船上でドッグショーを開催する計画を立てていた。しかし、タイタニック号はその前日の4月14日深夜に氷山と衝突し、ほとんどの犬たちは船とともに北大西洋の海底に沈んでいった〔。
タイタニック号に乗船していた犬のうち一部については、詳細が記録されている。
* キング・チャールズ・スパニエルとかなり年老いたエアデール・テリア - 一等船客のウィリアム・カーター(救命ボートC号艇で生還)所有〔TIME.comの特集記事(2012年4月11日付)によれば、ウイリアム・カーターは犬を心配する子供たちに「大丈夫だから」と言い聞かせた上で救命ボートに乗せたという。〕〔〔〔William Ernest Carter Encyclopedia Titanica 2014年3月24日閲覧。〕。
* チャウチャウ - 一等船客のハリー・アンダーソン(救命ボート3号艇で生還)所有〔。
* フレンチ・ブルドッグ - 一等船客のロバート・W・ダニエル(救命ボート3号艇で生還)所有。この犬は「Gamin de Pycombe」という名で、ダニエルはイングランドで150ポンド(2012年時点の価値に換算すると12,575ポンド)という高値で購入した〔ロード、pp. 7-8.〕。
* エアデール・テリア - この犬の名は「キティ」(Kitty)といい、一等船客の(事故により死亡、妻は救命ボート4号艇で生還)が所有していた〔TIME.comの特集記事(2012年4月11日付)によれば、ジョン・ジェイコブ・アスター4世夫妻はエアデール・テリアを2頭連れていたという。〕〔〔John Jacob Astor Encyclopedia Titanica 2014年3月24日閲覧。〕。
* ポメラニアン - 一等船客のマーガレット・ヘイズ(:en:Margaret Bechstein Hays、救命ボート7号艇で生還)所有〔タイタニック号を脱出したマーガレットは、事故で父と死に別れて保護者のいなくなった幼いナヴラティル兄弟の面倒をカルパチア号の船内で見ている。〕〔〔Margaret Bechstein Hays Encyclopedia Titanica 2014年3月24日閲覧。〕。名前は「レディ」(Lady)といい、マーガレットはおそらく人目を忍んでこの犬を船室内で飼っていた。
* ポメラニアン - 一等船客のエリザベス・ロスチャイルド(救命ボート6号艇で生還)所有の犬。この犬も船室内で飼われていた〔〔Elizabeth Jane Anne Rothschild Encyclopedia Titanica 2014年3月24日閲覧。〕。
* ペキニーズ - 一等船客のヘンリー・スリーパー・ハーパー(:en:Henry S. Harper、救命ボート3号艇で生還)所有。名を「孫逸仙」(Sun Yat Sen)といい、中国の革命家孫文にちなんで命名された〔の『タイタニック号の最期』(:en:A Night to Remember (book))などでは、孫逸仙の犬種を「」としている。〕〔〔〔ペレグリーノ、p. 289.〕。
* フラウ=フラウ(Frou-FrouまたはFreu Freu)という名の愛玩犬 - 一等船客のヘレン・ビショップ(救命ボート7号艇で生還)所有。フラウ=フラウは犬小屋で大型犬の中で過ごさせるには「あまりにも可愛らしい」と客室係が思ったため、船室内に滞在することを許可された〔Helen Bishop Encyclopedia Titanica 2014年3月24日閲覧。〕。
タイタニック号にはさらに多くの犬が乗り込んでいたと推定されているが、その犬たち(及びその所有者)は事故の犠牲となって詳細も不明である〔。その点では、ワシントン出身の猟犬取引人クラレンス・ムーア(事故により死亡)が購入した100頭のイングリッシュ・フォックスハウンドは幸運であった〔〔Clarence Bloomfield Moore Encyclopedia Titanica 2014年3月24日閲覧。〕。ムーアはワシントンでキツネ狩りを始めるために犬たちを購入してタイタニック号で運搬する予定であったが、土壇場で計画は変更されて犬たちは別の船に乗船していたため事故の犠牲とならずに済んでいる〔〔。
; その他の動物たち
タイタニック号には犬や猫と同様に、多数の鳥が乗船していた。ニューヨーク出身の一等船客エラ・ホームズ・ホワイト(救命ボート8号艇で生還)という女性は、雄鶏と雌鶏を合計4羽連れていた〔Even the Canary Had a Ticket 2014年3月24日閲覧。〕。エラ・ホームズ・ホワイト所有の鶏たちは、F甲板の犬小屋もしくはその近くで飼われていた。エラ・ホームズ・ホワイトは品種改良に取り組むために、この鶏たちをフランスから輸入していた〔。もう1人の女性も、30羽の雄鶏を連れて乗り込んでいたという〔。二等船客のエリザベス・ラメール・ナイ(救命ボート11号艇で生還)は、カナリアを1羽連れていた〔。
タイタニック号の最初の寄港地シェルブールで、この港で下船する乗客とともに犬2頭、カナリア1羽が船を降りた。動物たちは、それぞれの飼い主が各自の乗船切符代を支払った上でタイタニック号に乗っていた。シェルブールで下船したカナリアさえも、その飼い主が25セントの切符代を支払っていた〔。
当時の他の多くの船と同様に、タイタニック号にも多数のネズミが生息していた。事故前の夕方に、ネズミのうち1匹が三等船客の食堂を横切って駆け回っているのが見られた〔バトラー、p. 120.〕。このとき人々はダンスパーティを開いていて、その最中にネズミが騒ぎを起こしたのだった〔。ネズミを捕えようとした男性が失敗して取り逃がすのを見た女性のうち、数人が急に泣き出してしまった〔。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「タイタニック号に乗船していた動物たち」の詳細全文を読む



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