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タイムシェアリングシステム (Time Sharing System, TSS) とは、1台のコンピュータのCPUの処理時間をユーザー単位に分割することにより、複数のユーザーが同時にコンピュータを利用できるようにしたシステムのことである。1960年代当初は、メインフレームで開発された技術であったが、現在では、パーソナルコンピュータであってもオペレーティングシステム (OS) の制御により同様の処理を行うことができる。 == 概念== 1960年代ごろまでのメインフレームは非常に高価であり、個人が占有してインタラクティブ(対話的)に使用することは不可能だった。インタラクティブにコンピュータを使うということは、ほとんどの時間をユーザーが考え込んでコンピュータが入力を待っている状態になることを意味するからである。しかしそのことから、あるユーザーが使っていないCPU時間を他のユーザーに割り当てることで、複数のユーザーが同時にコンピュータを使うことができるかもしれないという考えが生まれた。同様に、ディスクやテープや通信などの入出力の完了を待っている短い時間を他のユーザーに割り当てることもできる。タイムシェアリング機能を提供できるコンピュータは、夜間にはバッチ処理に使うことが多かった。 ただし、前述の解決法(使っていない時間を他のユーザーに割り当てる)だけでは、完全なタイムシェアリングシステムを構築することはできない。各々のユーザーがあたかもコンピュータを占有しているかのようにスムーズに使えるようにするには、タイムシェアリングシステムは入出力で一時停止状態になることがあまり無いプロセスについても考慮しなければならない。つまり、使っていない時間だけユーザーを切り替える方式ではそのようなプロセスは切り替えるタイミングがなく、結果として他のユーザーにCPU時間が割り当てられなくなってしまう。このため、動作中のプロセスをタイマー割り込みによって停止させ、別のプロセスにCPU時間を与える機能が必要となる。 タイムシェアリングシステムと対話型コンピューティングという概念は切り離せない関係であるが、この考え方について後世に最も影響を与えたのはJ・C・R・リックライダーが1960年に発表した ''Man-Computer Symbiosis''(人間とコンピュータの共生)という論文である。 タイムシェアリングシステムは一時期、大変な隆盛を迎えた。その経済的な誘因となったのが「グロッシュの法則」と呼ばれるものである。それは、「コンピュータの性能はその価格の二乗に比例する」というものである。マイクロプロセッサが登場するまで、これは「ムーアの法則」と同程度に現実を表していた。これによれば、1000万円のコンピュータは500万円のコンピュータの4倍の性能があり、5000万円のコンピュータは1000万円のコンピュータの25倍の性能があるということになる。したがって、1000万円のコンピュータを25台購入して個々人に割り当てるよりも、5000万円のコンピュータを25人で共有したほうが経済的だったのである。 代表的なタイムシェアリングシステムを採用したOSには、IBM社製メインフレームコンピュータ用のMVSがある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「タイムシェアリングシステム」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Time-sharing 」があります。 スポンサード リンク
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