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タヌキモ属(''Utricularia'')は、シソ目タヌキモ科に分類される植物の一属。約226種とされるが、分類方法によっては215種などとされることもある。南極を除く世界中の湖沼や湿地に生育している。 大形の花をつける種もおり、花の観賞目的で栽培されることも多い。またタヌキモ科は全て食虫植物であり、その方面の愛好家も多い〔神戸市立教育研究所(1985)「神戸の水生植物」(神戸の自然14)〕。観賞目的で栽培される際には、日本語には属全体をカバーしうる総称がないため、学名のウトリクラリアで呼ばれることもある。 == 概要 == タヌキモ属は、水生植物と地生植物を中心に構成されており〔角野 (1994) p.148〕、南極を除く世界中の淡水湖沼や湿地に分布している。模式種はタヌキモ(''U. vulgaris'')〔タヌキモの学名は正確には ''U. vulgaris'' var. ''japonica'' だが、現在ではこの名はイヌタヌキモ(''U. australis'')のシノニムとして、タヌキモには別の学名を適用する説が有力である。この説に従うと ''U. vulgaris'' につけられた和名はないと考えられる。〕。 食虫植物の種数は被子植物全体の1%未満とされており、そのおよそ半分がタヌキモ属の種とされている。陸生種の多くは、地中の原生動物や輪形動物を捕獲するため、小型の捕虫嚢をもつ傾向にある。一方水草として生育する種は、より大型の捕虫嚢をもつため、ミジンコや線虫、カの幼虫(ボウフラ)、発生初期のオタマジャクシなどを捕獲することができる。一部の種は着生植物や岩生植物として生育している。日本に生息する種は、湿地に生息するミミカキグサ類と、水生のタヌキモ類に大別される〔。 匍匐茎や葉状茎などにつく捕虫嚢は、入口に内開きの扉があり普段は閉じられている。捕虫嚢内部は絶えず水が排出され、外部環境より水圧が小さい状態が保たれている。一旦獲物が扉から伸びた毛に触れて動かすと、機械的な刺激が伝達され、入口との間にわずかに空隙ができる。即座に水が獲物もろとも流れ込み扉は大きく開く。水圧の差がなくなると扉は再び閉じ、排水と消化吸収が行われる。 タヌキモ属は非常に特殊化した植物で根や葉、茎などの栄養器官は、構造上は他の被子植物のように区別できない。一方捕虫嚢は、あらゆる植物の中で最も洗練された構造の一つであると考えられている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「タヌキモ属」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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