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バロニア
バロニア()は緑色植物門に含まれる海藻の属である。藻体は肉眼的な大きさの球形の細胞(右写真)より成る。後述するように深所型緑藻と呼ばれ、温帯から熱帯の海洋域、潮間帯から比較的深い場所まで分布する。「バロニア」の名はイタリアの植物学者 Valoni に献名されたものである〔井上 p14〕。 == 細胞構造 == バロニアは巨大な単細胞生物である。細胞は風船のように膨らんだ形状で球形から亜球形、基部で基物に付着している〔Graham et al. p393〕。色は濃緑色、表面に光沢があり、美しさを称えられる〔井上 p15〕。細胞の内部は液状の原形質で満たされており、細胞質や液胞のほか多数の葉緑体、核を含む(多核体)〔Algaebase ID:33606〕。細胞の表面はセルロース性の細胞壁で覆われている。このセルロースの合成複合体は陸上植物のようなロゼット型ではなく、狭義の緑藻類と同じ三列の直線的な配置をとっており、太く丈夫な繊維を形成することができる〔Graham et al. p445〕。 バロニアの細胞からは容易にプロトプラストを作成することができる〔。滅菌海水を用意し、藻体に傷を付けて原形質を流しこめば良い。原形質は海水中で球形となり、数分で表面に細胞膜が形成されてプロトプラストとなる。プロトプラストは数週間の培養の後に、元と同じ藻体に戻る。このようなプロトプラストによる分散・増殖と個体の再生は天然でも見られ、イワヅタ目やミドリゲ目の藻類で多く知られている。 光合成色素としてはクロロフィル a および b を持つ。他に光合成補助色素として、深所型緑藻に特徴的なカロテノイドであるシフォネインやシフォナキサンチンを持つ〔千原:藻類の多様性と系統 p8-9〕。これらのカロテノイドは緑色光を効率的に吸収し、深所での光合成を可能にしている。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「バロニア」の詳細全文を読む
英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Valonia (alga) 」があります。
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