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ツェントラル鉄道ABeh160形電車(ツェントラルてつどうABeh160がたでんしゃ)は、スイスのツェントラル鉄道(ZB:Zentralbahn)(Zentralbahn (ZB))で使用される山岳鉄道用の部分低床・ラック式電車である。 == 概要 == スイス連邦鉄道(SBB、スイス国鉄)の唯一の1m軌間の路線であるブリューニック線とルツェルン-シュタンス-エンゲルベルク鉄道(LSE:Luzern-Stans-Engelberg-Bahn)とが統合して2005年1月1日に発足したツェントラル鉄道では、スイス国鉄から引継ぎで1941年製のDe110形〔ラック式のDeh120形を1992-94年に粘着区間専用に改造した機体〕やルツェルン-シュタンス-エンゲルベルク鉄道引継ぎで1967-80年製のBDeh140形といった経年の進んだ旧型の動力車が使用されていたほか、これらの電車が牽引する客車についても1966-71年にSIG〔Schweizerische Industrie-Gesellschaft, Neuhausen〕製のEW I型73両を導入したTyp III系など40年以上の経年の進んだ機材が多く残っており、接客設備は更新されていたもののサービス向上とバリアフリー化が望まれていた。また、2010年12月には旧ルツェルン-シュタンス-エンゲルベルク鉄道線に新しいエンゲルベルクトンネルが開通し、勾配が261パーミルから110パーミルに緩和されて輸送力増強がなされ、一方でルツェルン近郊区間の一部複線、地下化工事が進んでいるため、この運用のための新たな機材も必要な状況であった。 これに対し、ツェントラル鉄道では、ブリューニック線のレギオエクスプレスなどの長距離列車を新しい固定編成のラック式電車に置き換え、同線の主力機であるHGe101形電気機関車の一部〔常用2機、予備1機〕をエンゲルベルク方面の列車や区間列車に転用することとし、2009年にシュタッドラー〔Stadler Rail AG, Bussnang〕に対し総額1.5億スイス・フランで新しいラック式電車を発注した。ラック式の鉄道車両ではこれまでで最高額となったこの契約では、7両編成3本、3両編成6本の部分低床式のラック式電車を2012-13年に導入することとなっており、このうちの7両固定編成の機体がABeh150形(通称ADLER〔ドイツ語で鷲を意味する〕)、3両固定編成の機体が本項で述べるABeh160形であり、通称FINK(flinke, innovative Niederflur-Komposition〔ドイツ語でアトリ科の鳥を意味するfinkenをイメージしている〕)と呼ばれている。 さらに2014年にはルツェルンSバーンの列車としてABe130形などが牽引していたTyp III系など従来型の軽量客車とその制御客車を代替するために、ABeh160形を増備することとなり、同年9月にシュタッドラーに5編成が53百万スイス・フランで発注されており、2016年より運行を開始する予定となっている。 ABeh160形は2004-2005年に10編成が製造された粘着区間専用の3車体連接式のABe130形(通称SPATZ〔Schmalspur Panorama Triebzug、狭軌用パノラマ電車、なお、spatzはドイツ語でスズメを意味する〕)や、マッターホルン・ゴッタルド鉄道のBDSeh4/8形ラック式電車をベースとした1等/2等合造電車で、低床部の床面高さを400mmとしてバリアフリー対応し、VVVFインバータ制御により定格出力1400/1600kW、牽引力120/220kN(粘着区間/ラック区間)を発揮する強力機となっているほか、本形式は新設計の駆動装置を搭載しており、車輪の摩耗により台車高が変化しても駆動用ピニオンとラックレールの高さを一定に保つことができることと、粘着区間で120km/hの最高速度を発揮できることが特徴となっている。なお、車体と機械部分の製造および最終組立をシュタッドラーが、主要な電機品の製造をABB Schweiz〔 ABB Schweiz AG, Baden、ABBグループにおけるスイス国内会社の一つ〕およびABB Sécheron〔ABB Sécheron SA, Geneva、同じくABBグループにおけるスイス国内会社の一つ〕が担当している。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ツェントラル鉄道ABeh160形電車」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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