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トム・サム(、親指トムの意)は、アメリカ合衆国で初めてである鉄道において用いられたアメリカ製の蒸気機関車である。ピーター・クーパーが1830年に設計・製作したこの機関車は、新しく設立されたばかりであったボルチモア・アンド・オハイオ鉄道が蒸気機関車を使うように説得するためのものであった。特に即興で行われた馬の牽引する車両との競走に参加したことで知られている。トム・サムは途中まで競走で先行したが、途中でベルトが滑車から外れて推進力を失ってしまった。しかしこのデモンストレーションは成功し、蒸気機関車の使用を決定したボルチモア・アンド・オハイオ鉄道は翌年、実用機関車のトライアルを行っている。 == 設計と製造 == トム・サムはピーター・クーパーによって、垂直ボイラーを搭載し垂直に取り付けられたシリンダーが1軸を駆動する4輪機関車として設計された。多数の即興のものが特徴となっている設計であった。ボイラーはライフルの銃身でできており〔、煙突に取り付けられたブロアは動軸からベルトで駆動されていた〔。クーパーの鉄道への関心は、ボルチモア近郊の現在のへの大規模な不動産投資が目的で、鉄道が成功すれば彼の所有する資産の価値が増すと考えられたためであった〔。 製造はジョージ・W・ジョンソンの機械工場で行われ、そこでは当時18歳のが見習いをしていた。ミルホランドは後に自身が傑出した機関車設計者となる。 試験はボルチモアとエリコットミルズ(現在の)の間の会社の線路で行われた。2本の線路が建設され、1830年4月28日にたまたま通過するところであった乗客を乗せた馬車の御者が機関車に競走を挑んだ。この挑戦は受け入れられ、トム・サムはブロアを動かしていたベルトが滑車から外れてしまうまでは、馬を大きく引き離して走行した。ブロアなしではボイラーは十分な力を出せず、馬車が追い抜いて競走に勝ってしまうことになった。にもかかわらず、機関車が優れた性能を発揮することが認識された。 トム・サムは営業運転で用いることは意図されておらず、保存されなかった。しかしクーパーやそのほかの初期の鉄道に関係した人物が、大きさや外観などがわかる説明を残していた。1892年にメイジャー・パングボーンが木製の模型を製作し(彼はほかにも多くの初期の蒸気機関車の模型を作った)、1926年に「鉄の馬展」() 用にレプリカが製作された際に、製作者はパングボーンの模型を参考にした。このため当初のトム・サムからはかなり異なるところがあり、いくらか大きく重く、かなり高さが高くなっている。上の表に示した値はレプリカのものである。また、煙突に取り付けられたブロアの代わりに台枠にかなり大きなブロアが取り付けられて強制通風を行うようになっており、シリンダーの支持枠や案内もかなり異なっている。このレプリカはボルチモア・アンド・オハイオ鉄道博物館に保存されている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「トム・サム」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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