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トリフルオロメタンスルホン酸(トリフルオロメタンスルホンさん、trifluoromethanesulfonic acid)は、有機化合物の一種で、示性式を CF3SO3H と表されるスルホン酸である。フッ素の高い電気陰性度により、硫酸の約 1000 倍という非常に強い酸性を示す(酸度関数による比較)。英語では、triflic acid とも呼ばれ、有機合成において、酸触媒として用いられる〔総説: Howells, R. D.; McCown, J. D. ''Chem. Rev.'' 1977, ''77'', 69. (doi:10.1021/cr60305a005 )〕〔総説: Lakshminarayanapuram, R. S. "Trifluoromethanesulfonic Acid" In ''Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis'', 2001 John Wiley & Sons, Ltd.〕。また、構造式ではトリフルオロメチルスルホニル基 (CF3SO2−) を Tf と略することから、トリフルオロメタンスルホン酸を TfOH と略することもある。毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている〔毒物及び劇物指定令 昭和四十年一月四日 政令第二号 第二条 七十四の五 〕。 == 性質 == トリフルオロメタンスルホン酸は吸湿性を持ち、常温では無色の液体である。湿気を含む空気中に出すと煙を発生し、強い刺激臭を示す。多くの金属を侵す。水には激しく発熱して溶解し、アルコール類、DMF、DMSO、アセトニトリル、ジメチルスルホンなどの極性溶媒に対しても発熱的に溶ける。 一水和物(CF3SO3H・H2O)は融点34℃のイオン結晶(H3O+・CF3SO3−)であるなど過塩素酸に類似する部分が多いが爆発性はなく、またフルオロ硫酸のように加水分解もしないことから安定な超強酸としての用途が広い。 酸解離定数 p''K''a は 2.6(アセトニトリル中)〔Fujinaga, T.; Sakamoto, I. ''J. Electroanal. Chem.'' 1977, ''85'', 185.〕、ハメットの酸度関数 ''H''0 は −14.9 である。硫酸を上回る非常に強い酸性により、超酸に分類される。 トリフルオロメタンスルホン酸、およびその共役塩基(CF3SO3−、トリフラートアニオン、triflate anion)は化学的、熱的に非常に安定であるため、多くの特長を持つ。トリフルオロメタンスルホン酸は酸化、還元反応をほとんど受けず、過塩素酸や硝酸などの強酸と異なり酸化力を示さない。また、求核剤に対しても安定であり、他のスルホン酸に知られるようなスルホン化反応も起こさない。トリフラートアニオンも化学的に安定で還元性や求核性をほとんど示さず、対アニオンとして理想的な性質を持つ。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「トリフルオロメタンスルホン酸」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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