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トールとは、北欧神話に登場する神である。神話の中でも主要な神の一柱であり、神々の敵である巨人と対決する戦神として活躍する。その他考古学的史料などから、雷神・農耕神として北欧を含むゲルマン地域で広く信仰されたと推定されている。 == 名称 == 北欧神話の原典に主に用いられている古ノルド語での表記は Þórr (再建音: , 推定音に近い日本語表記はソール)であり、トールという日本語表記は英語化・ドイツ語化の過程で þ を t で代用した形 Tor や、現代の正書法では þ を用いないノルウェー語・スウェーデン語での表記 Tor などに由来するカナ転写表記である。北欧神話が日本に紹介された初期の書籍でこの表記が用いられていたことから広まった〔『古エッダ』の日本語訳本として知られている谷口幸男訳『エッダ 古代北欧歌謡集』(1973年)でも、「凡例」で「固有名詞はなるべく原音に近づけようとしたが、すでに本邦でよく用いられているオーディン、トールは、そのままにしておいた」と但し書きがなされた上で「トール」表記が用いられている。〕。英語などで一般的な、þ を th に置き換えた形 Thor の英語読みに由来するソー、ソアの表記も見られる〔例えばトールを主人公としたアメリカン・コミックス『マイティ・ソー(The Mighty Thor)』など。 またドイルのホームズシリーズ『ソア橋(The Problem of Thor Bridge)』には「トール橋」の邦題もある。〕。 トールは北欧神話のみならずゲルマン人の信仰に広く見られる神であり、古英語の文献に見られる Þunor や古高ドイツ語での Donar もトールを指すとみなされている。時代を下ったドイツの民話ではドンナー (Donner) の名で現れ、19世紀の作曲家ワーグナーの歌劇でもこの名称が使用されている。これらの語はいずれもゲルマン祖語の *þunraz まで遡ることができると考えられており、その意味は「雷」であっただろうと推定されている。 カタカナ表記では区別がしづらいが、同じく北欧神話に登場する神テュール (Týr) やソール (Sól) とはそれぞれ別の神である。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「トール」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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