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トール様受容体 : ウィキペディア日本語版
Toll様受容体[とるようじゅようたい]

Toll様受容体(トルようじゅようたい、Toll-like receptor:TLRと略す)は動物細胞表面にある受容体タンパク質で、種々の病原体を感知して自然免疫獲得免疫と異なり、一般の病原体を排除する非特異的な免疫作用)を作動させる機能がある。脊椎動物では、獲得免疫が働くためにもToll様受容体などを介した自然免疫の作動が必要である。
TLRまたはTLR類似の遺伝子は、哺乳類やその他の脊椎動物インターロイキン1受容体も含む)、また昆虫などにもあり、最近では植物にも類似のものが見つかっていて、進化的起源はディフェンシン(細胞の出す抗菌性ペプチド)などと並び非常に古いと思われる。さらにTLRの一部分にだけ相同性を示すタンパク質(RP105など)もある。
TLRやその他の自然免疫に関わる受容体は、病原体に常に存在し(進化上保存されたもの)、しかも病原体に特異的な(宿主にはない)パターンを認識するものでなければならない。そのためにTLRは、細菌表面のリポ多糖(LPS)、リポタンパク質鞭毛フラジェリンウイルスの二本鎖RNA、細菌やウイルスのDNAに含まれる非メチル化CpGアイランド(宿主のCpG配列はメチル化されているので区別できる)などを認識するようにできている。
TLRは特定の分子を認識するのでなく、上記のようなある一群の分子を認識するの一種である。
==研究史==
Toll遺伝子は1980年代にショウジョウバエで正常な発生(背腹軸の決定)に必要な遺伝子として発見された("Toll"はドイツ語で"規格はずれな"の意味)が、1996年には、真菌に対する免疫にも働いていることが明らかになった。
さらに1997年、哺乳類にもToll遺伝子と相同性の高い遺伝子が見つかり、これがToll-like receptorと命名された。
ほとんどの哺乳動物で10から15種類のTLRが確認されている。ヒトでは10種類(TLR1からTLR10と呼ばれる)があり、他の種でもそれらの多くに対応するものがあるが、一部はない(例えばTLR10に対応する遺伝子はマウスにもあるが、レトロウイルスにより破壊されている)。またヒトにはないが他種にあるものもある。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「Toll様受容体」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Toll-like receptor 」があります。



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