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ナパーム弾(ナパームだん、)は、主燃焼材のナフサにナパーム剤と呼ばれる増粘剤を添加してゼリー状にしたものを充填した油脂焼夷弾である。アメリカ軍が開発したもので、きわめて高温(900-1,300度)で燃焼し、広範囲を焼尽・破壊する。 == 概要 == 初期に開発されたナパーム弾の構造は、主燃焼材のナフサ、増粘剤としてパーム油から抽出したパルミチン酸のアルミニウム塩、乳化剤としてのナフテン酸などを混合したものを落下燃料タンクに充填したもの。これに信管をつけて航空機から投下した物である。 また、同じ混合液体は、火炎放射器の噴射剤としても用いられた。 ナパーム弾の充填物は、人体や木材などに付着するとその親油性のために落ちにくく、水をかけても消火が困難である。消火するためには界面活性剤を含む水か、ガソリン火災用の消火器が必要である。また、ナパーム弾の燃焼の際には大量の酸素が使われるため、着弾地点から離れていても酸欠によって窒息死、あるいは一酸化炭素中毒死することがある。 もともと「ナパーム」(Napalm)とは、ナフテン酸(naphthenic acid)とパルミチン酸(palmitic acid)のアルミニウム塩(Aluminum Salts)の略語で、ガソリンやジェット燃料などの石油類と混合するとゼリー状にゲル化する性質を持った増粘剤である「ナパーム剤」のことである。ナパーム剤というのは俗称であり、正規名称は増粘剤(Thickener)である。 だが、これを使用したゲル化油脂焼夷弾の主原料がナフサとパーム油だったため、ナフサの「ナ」+パーム油の「パーム」で「ナパーム」という説が一般に信じられるようになった。 火炎放射器などに使用するナパームは、現地で製造できるようにM2混合装置が開発され、現在でも使用されている。使い方は簡単で、材料となるナフサかガソリンと粉末の増粘剤を入れてかき混ぜた後、タンクに注入するだけである。このような現地製造装置が必要なのは、工場などで大型タンクで混ぜて大量に生産してしまうと、粘性が高いため小さいタンクに移すのに通常のポンプでは注入できないためである。そのため、製品の状態で前線へ輸送するよりも、現地で製造してタンクに移す方が効率が良い。この方法なら専用ポンプは最終の充填用の小型ポンプだけで済む。増粘剤は重量比で2%程度の混合なので、20キロあれば1トンのナパームが作れる。ナフサを使用しているのは、工場で充填されるナパーム弾で、火炎放射器は燃料用のガソリンから現地で製造と充填を行っている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ナパーム弾」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Napalm 」があります。 スポンサード リンク
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