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ナポリ語(、)は、南部イタリアのロマンス系言語。南イタリア最大の都市ナポリを中心に、カンパニア州、バジリカータ州、カラブリア州北部、プーリア州北部・中部、アブルッツォ州、マルケ州南部、ラツィオ州南部などで広範に使用される。 「ナポリ語」という名前はナポリ王国の旧領で話されている事に由来するが、エスノローグはナポリ語ではナポリ市で用いられる言語という誤解を与えるとして、ナポリ・カラブリア語(Napoletano-Calabrese)という呼称を用いている。この呼称が適切かどうかは別として、多くの学者はナポリ語とイタリア語のナポリ方言は区別されなければならず、紛らわしくない呼称が必要だとしている。 ナポリ語話者が分布する圏内で意思疎通に問題が生じることは少ないが、ナポリ語話者と標準イタリア語話者のあいだでは意思疎通がうまくいかない場合がある。これは、中性名詞の存在や複数形の作り方の違いなど、標準イタリア語との間に文法上の明確かつ大きな差異があるためである。 ==特徴== ナポリ語も標準イタリア語と同様に俗ラテン語から派生したものであるが、ラテン語よりも前に存在していたオスク語の影響が大きい。例えば d 音を r 音のように発音するロータシズム(顫動音化)が挙げられる。具体的には、語頭もしくは母音に挟まれた d は r と発音され、またそのまま綴られることもある(''vedé''「見る」は ''veré'', ''cadé''「落ちる」は ''caré''となる)。ロータシズムの他の例としてはラテン語の -nd が -nn に置換されること(''it. mundo''「世界」は ''munno'', ''it. quando''「いつ」は ''quanno'' となる)、-mb が -mm に置換されること(''it. tamburo''「太鼓」は ''tammuro'' となる)などが挙げられよう。9世紀まで現在のナポリ地域はギリシャ語が使用されていたため、ギリシャ語の影響も受けている。 近年まで正書法を確立する試みはなかった。例えば「ナポリ語辞書」と題された書籍で「木」を引いてみると、''arbero, arvero, ávaro'' などとばらついている有様だった。現在は、Aldo Oliveri 教授らのプロジェクトにより文法などの整理が行われている。 言語文化面では、ナポリ語は Giambattista Basile, Eduardo de Filippo, Salvatore di Giacomo や Totòを筆頭に文学や歌劇の場面で活躍してきた。『帰れソレントへ』の歌詞はイタリア語ではなくナポリ語である。 現在のところイタリア国内においてナポリ語は公用語などの公式な地位を与えられておらず、学校で教えられることもない。しかしナポリ語教育を振興する動きは多くあり、ナポリのフェデリコII世大学ではナポリ語のカリキュラムが用意されている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ナポリ語」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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