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ナヨタケ科 : ウィキペディア日本語版
ナヨタケ科[なよたけか]

ナヨタケ科()は真正担子菌綱ハラタケ目に属する菌類の科の一つ。この科に分類される種の多くは、を持ち、比較的もろい繊維質の子実体(いわゆるキノコ)を形成する。胞子は暗色であるものが多く、そのため胞子紋も黒色や暗褐色を呈するものが多いが、まれに赤色その他の明るい色の胞子紋を有するものも存在する。約半数の種では、胞子の成熟に伴い傘が自己融解し、黒い液状となる。
DNAの塩基配列の比較に基づく分子系統解析が行われる以前は、傘が液化するヒトヨタケ型の形質を示す種の多くが、ナヨタケ属菌とともに ヒトヨタケ科()に置かれていた。しかし、分子系統解析が行われるとヒトヨタケ科が単系統群でないことが明らかとなった〔Redhead SA, Vilgalys R, Moncalvo J-M,Johnson J & Hopple, JS Jr.,2001. ''Coprinus'' Pers. and the disposition of ''Coprinus'' species ''sensu lato''.Taxon 50(1):203–241〕。この際、ヒトヨタケ科のタイプ種となっていたササクレヒトヨタケ()がヒトヨタケを中心とする多くの種と異なりハラタケ科に分類されることが示されたため、ヒトヨタケ科という科名はハラタケ科のシノニムとなり、ナヨタケ属()をタイプ属とする本科が新設され、ヒトヨタケ科を構成していた大部分の種はこのナヨタケ科に移されることになった。
ナヨタケ科に属する菌の担子胞子には、しばしば発芽孔が見られ、また胞子壁の中の色素は硫酸によって脱色が起こる(暗色系の胞子を有するものの系統的には遠縁なヒカゲタケ属()のきのこでは、この反応は見られない)。この科の菌の多くは腐生菌だが、 のように菌寄生性のものもまれに存在する。腐生性の種の多くは窒素源に富んだ(富栄養な)環境を好むため、腐葉土・動物の糞・朽木・芝生・庭園地などから発生することが多い。
以下に本科を構成する下位分類群を示す。
== ナヨタケ属 ''Psathyrella'' ==
本科のタイプ属となっているグループで、基本的に傘は液化しない。多系統の分類群であることが分かっており、将来的にはさらに細分化や再編が行われる可能性がある。基準種のナヨタケ(''P. gracilis'')など多くは吸水性の傘を持つのが特徴。
アメリカ合衆国オレゴン州ローグ川に生息する''P. aquatica'' は、キノコの中で唯一水中に発生する種で、2010年に新種登録された。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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