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ナーズム・ヒクメト : ウィキペディア日本語版
ナーズム・ヒクメット

ナーズム・ヒクメットNâzım Hikmet, 1901年/1902年 - 1963年6月3日)は、トルコ出身の詩人劇作家共産主義者、革命運動家。本名は、メフメト・ナーズム・ラン (Mehmet Nâzım Ran)であり、多種の筆名を使用した。日本語では、ナズム・ヒクメト・ランナジム・ヒクメットなどとも表記する。
==生涯==

===少年期===

オスマン帝国領のサロニカ(トルコ語名:セラーニク、現在はギリシャテッサロニキ)の出身。父はハンブルク総領事も務めた外交官ヒクメト・ベイ〔集英社『世界文学大事典 3』〕で、母は画家〔『新潮世界文学辞典』〕ジェリーレ・ハヌム (Celile Uğuraldım)。二人の間には、ナーズムのほかに、アリ・イブラヒムとサーミイェが生まれた〔Kemal Sülker, ''Nâzım Hikmet'in Gerçek Yaşamı'', İleri Yayınları, 2005, ISBN 9789756288467, p. 18. 〕。父方の祖父はオスマン帝国時代のサロニカ県の最後の知事で、かつ著名な詩人でメヴレヴィー教団員だったメフメド・ナーズム・パシャ〔であり、高級官僚の家柄であった。一方、母方の祖父はムスタファ・ジェラーレッディン・パシャ (コンスタンティ・ボルゼンツキ, Konstanty Borzęcki)の息子ハサン・エンヴェル・パシャ (Hasan Enver Paşa)であり、祖母はメフメド・アリ・パシャ (Mehmet Ali Paşa)の次女レイラ・ハヌムと、こちらは高級軍人の家柄であった〔Osman Selim Kocahanoğlu, "Bir Osmanlı Ailesi ve Ali Fuat Cebesoy", ''Ali Fuat Cebesoy'un Arşivinden Askeri ve Siyasi Belgeler'', Temel Yayınları, İstanbul, 2005, pp. 14-15. 〕。
13歳から詩作を始める〔。ギョズテペの模範学校 (タシュ・メクテプとして知られる)で初等教育を修了し、メクテビ・スルターニ (現ガラタサライ高校)に登録した。同校の準備学級で親友となる「ヴァー・ヌー」 (Vâ-Nû)ことヴァーラー・ヌーレッディン (Vâlâ Nureddin)と知り合った。しかし、家計の困窮のためにニシャンタシュ・スルターニスィ (現ニシャンタシュ・ヌーリ・アクン・アナドル高校)に移った。その詩作が当時の海軍大臣ジェマル・パシャの目に留まり、1915年9月25日、イスタンブルヘイベリアダにある海軍学校 (現海軍高等学校)に入学することになった。この学校で国語の教師であったトルコの有名詩人ヤフヤ・ケマルに出会い、本格的に詩作を行うようになる〔中本・服部訳『ヒクメット詩集』〕。またこの時期に民族解放運動に身を投じている。1919年に26名中9席で卒業し、甲板科見習い士官として練習艦「ハミディイェ」に乗り組んだが、胸膜炎発症を理由に海軍を除籍となった〔Kubilay Dökücü, Çağrı Kıran, Bahriye Mektebi'nde Nazım Hikmet , ''Pusula'', 66, 2010.〕。除籍の理由は病気のため、あるいは水兵の革命運動に参加したためなどの説がある。当時のトルコは第一次世界大戦に敗れ、連合国に分割占領されていた。1920年、占領軍を弾劾する詩を書いたことで当局に追及され、1921年1月、ヴァーラー・ヌーレッディンとともに国民闘争に参加するためにイスタンブルを離れアナトリアのイネボルに渡った。希望していた前線には送られず、ケマル・アタテュルクのアンカラ政府の命でヴァーラー・ヌーレッディンとともにアナトリア山間部のボルへ教師として赴任した。このアナトリアでトルコ農民の貧しい暮らしに触れることとなる〔。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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