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ニザームッディーン廟 : ウィキペディア日本語版
ニザームッディーン廟[にざーむっでぃーんびょう]

ニザームッディーン廟 (、 、)または ニザームッディーン・アウリヤーの墓廟インドデリーに位置する著名な聖者廟(ダルガー)。13世紀から14世紀にかけてのイスラームの聖者ニザームッディーン・アウリヤーを中心としたインドでも最大規模の聖者廟である〔小牧(2007)pp.1-7〕。
== 概要 ==
イスラームでは本来的には偶像崇拝は禁止されているが、ここではデリー・スルターン朝時代のスーフィーの聖者ニザームッディーン・アウリヤー(Nizamuddin Auliya, 1238年 - 1325年)の墓が神聖視され、祈りと参詣の対象となっている。年齢・性別問わず多数のムスリム(イスラーム教徒)が巡礼参詣に訪れるだけではなく、ヒンドゥー教徒をはじめとしてスィック教徒キリスト教徒など非ムスリムも階級職業・目的によらず大勢訪れる。また、インドの政治家がみずからの信じる宗派を超えて選挙当選祈願に参拝することでもよく知られている〔。インド以外から訪れる人も多い。
ニザームッディーン廟はニューデリー南東部に所在しており、世界遺産に登録されているフマーユーン廟ムガル帝国第2代皇帝フマーユーンの墓廟)の西約800メートルの地点に立地する。この地に聖者廟が営まれたのは、トゥグルク朝1320年 - 1413年)の時代と考えられるが、ニザームッディーンの愛弟子で、詩人芸術家、また、歴史家としても高名なアミール・フスロー〔姓のフスローは、フスラウ、クスロー、クスラウなどとも表記される。〕の墓が廟内にある〔。なお、ニザームッディーンの死後、フスローは後を追うように同じ年に亡くなっている。
ここに聖者廟が営まれたのち、王侯貴族など上層ムスリムのなかには自らの墓所をこの付近に置く者があらわれた(後述)。霊廟に隣接して、墓にかけるや供献用の砂糖菓子などの参拝用品を売る小売店が軒を連ねている〔。
イスラーム世界を拡大させたものとして、しばしば、征服神秘主義教団の伝道、ムスリム商人の活躍の3点が掲げられ、インドでは特に神秘主義修行者スーフィーの果たした役割の大きさが指摘される〔嶋田(1983)pp.210-214〕〔デリーで活躍し、デリーに葬られたチシュティー派の聖者として、他にクトゥブッディーン・バフティヤール・カーキーとナースィルッディーン・チラーグ・ディッリーがいる。〕〔1334年から1342年までの9年間デリーに滞在したイブン・バットゥータも、デリー郊外でスーフィー行者のカマール・アッディーン・アルガーリーの姿をみたことを、自身の旅行記『三大陸周遊記』に記している。〕。この聖者廟の存在は、インドにおけるスーフィー信仰のあり方の一端を示している。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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