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ニシクロカジキ(学名:''Makaira nigricans'')は大西洋に固有のカジキの一種である。本種は海面近くの幅広い種類の生物を捕食する。本種は魚などの群れを突き抜けて泳ぐ間に、吻を使って獲物を気絶させたり傷つけたりしてから、戻ってきてその獲物を捕食することが知られている。ゲームフィッシングの対象になり、肉には脂肪が豊富に含まれるため一部の市場では商業価値が高い。 本種は大西洋の熱帯、亜熱帯、温帯域に分布するが、インド洋と太平洋の熱帯、亜熱帯域に分布するクロカジキを本種と同種とすることもある。近年行われた遺伝的研究を根拠に二種を同種とする研究者も多いが、こういった研究には問題点も指摘されているため本項では別種として扱うことにする。 メスはオスの4倍の体重にまで成長することがある。記録されている最大の体重は818kgで、最大の体長は5mである。 ニシクロカジキの成魚を捕食するのは、ほぼ人間だけである。本種はゲームフィッシングの対象となる他、本種を目的とした漁業、あるいはマグロ漁における混獲によって捕獲され、IUCNによって乱獲のため絶滅のおそれがある危急種(VU)と評価されている〔。 英名はAtlantic blue marlinだが、単にBlue marlinと呼ぶことも多い。 その他の呼び名として英語ではCuban black marlin、ocean guard(海の番人)、ocean gar(海のガー)があり、キューバではCasteroあるいはAguja de casteと、マデイラ諸島ではPeitoと呼ばれることもある〔〔 〕。 ==分類== ニシクロカジキはクロカジキ属(''Makaira'')に属する。属名の''Makaira''は、短剣を意味するギリシャ語の''machaira''と、剣を意味するラテン語の''machaera''に由来する〔 〕〔 〕。種小名の''nigricans''は、ラテン語で「黒くなる」という意味である〔 〕。本種はフランスのラセペードによって1908年に''Makaira nigricans''としてはじめて記載され、現在一般的にはこの学名が用いられているが、はじめの記載以降他の研究者による新種としての記載や海域別での種の分割が相次いだため、シノニムが多数存在する〔中村泉・岩井保・松原喜代松 「カジキ類の分類学的研究」 『京都大学みさき臨海研究所特別研究報告』4号、1968年、1-95頁〕。 本種は他の「カジキ」と呼ばれる種と同様にスズキ目カジキ亜目に属し、中でもバショウカジキやシロカジキと同じマカジキ科に分類される〔 〕〔 〕。 ニシクロカジキ (''Makaira nigricans'')と、同属のクロカジキ (''Makaira mazara'')を別種として分類することについては議論が続いている。両種は外部形態上の差異に基づいて別種と見なされることが多かったが、1990年代後半にかけて両種が地理的な隔絶にも関わらず遺伝的に同一であることを示す研究が複数発表された〔, see page 429.〕。この結果、二種を同種とみなす研究者も多く、国際連合食糧農業機関(FAO)の統計では両者を英名Blue marlin、学名''Makaira nigricans''として名称を統一した。しかしこの二種に関する一連の遺伝学的研究に対しては、情報量が少ないことや標本の観察が不十分であることといった問題点が指摘されている〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ニシクロカジキ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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