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ノルウェーの捕鯨 : ウィキペディア日本語版
ノルウェーの捕鯨[のるうぇーのほげい]

ノルウェーの捕鯨(ノルウェーのほげい、ノルウェー語:)は、アイスランドと共に商業捕鯨を行うノルウェーの中心地、北極圏のロフォーテン諸島を中心に、昔から数世紀に亘り続く慣習である。ノルウェーの漁師達は漁の閑散期に当たる夏期に、ミンククジラを獲物とした捕鯨をしてきた。ミンククジラの肉は食用となり、ノルウェーには鯨食文化が長い間の慣習となっている。歴史的には近代捕鯨の技術発展に大きな役割を果たし、南極海などで大規模な母船式捕鯨を行い、また、他国の捕鯨船の乗組員も供給してきた。1949年に350隻あった同諸島の捕鯨船は、現在18隻で鱈漁などが主な収入源。ホーペンの加工場の直売店に鯨肉を買いに来る島民の中には、「大量に買って冷凍し、夏はバーベキュー、冬はシチュー」にしたり、また「最近、生肉でスシを作ることを覚えた」主婦もいて、捕鯨産業は、こうした人々に支えられ保っている。しかし、首都のオスロなど南部では、鯨は「昔の食材」と見られがち。〔2010年6月16日,河北新報,総合面「ノルウェー捕鯨 三重苦」〕商業捕鯨を実施しているノルウェーの漁業・沿岸問題省は、2010年の商業捕鯨枠を、過去最多のミンククジラ1286頭の捕獲を許可したが、ノルウェー国内でしか売れない為、表からも分かるように特に1990年代以降は400~500頭台で推移する。
== 歴史 ==

ノルウェーでは、古くから沿岸地域において、漁師がクジラの捕獲を行ってきた。ノルウェー西岸では、夏になるとミンククジラがフィヨルド内にまで回遊してくるので、で入口を封鎖して閉じ込め、小舟で近づいて毒矢でしとめるという方法を数百年に渡って続けてきた。得られた鯨肉は地元の住民に分配されるしきたりだった。この捕獲方法は20世紀初頭まで続き、その後、毒矢ではなく鉄砲捕鯨砲が使われるように変わった〔大村、50頁。〕。
ノルウェーの捕鯨技術は、19世紀半ばに、スヴェン・フォインno)が捕鯨砲を開発したことにより進化を遂げた。この捕鯨砲と動力式捕鯨船を使用した「ノルウェー式捕鯨」は、近代捕鯨技術として世界中に広まる。1883年にはアイスランドの許可を得て、アイスランドに捕鯨基地を建設した。アイスランド近海でミンククジラが減少すると、ノルウェーの漁師達は、ミンククジラが多数棲息する北極海に進出し、捕鯨をおこない、アイスランド近海での捕鯨以上の利益を得た。

1904年には、カール・ラルセンen)が、アルゼンチンで出資を募ってアルゼンチン漁業会社を興し、サウス・ジョージア島に捕鯨基地を建設すると、史上初の南極海での本格的捕鯨を開始した。サウス・シェトランド諸島などにも進出し、なかでもデセプション島が一大拠点となった。1905年には鯨油生産のための移動工場としての機能を有する工船(捕鯨母船)を就役させ、適当な湾に係留して容易に基地として利用できるようにした。イギリスが南極の領有権を主張して入漁料要求などを行うようになると、1924年には鯨を解体作業のために船内へ収容するスリップウェイを装備した捕鯨母船「ランシング号」を就役させ、公海上で自由に操業できる母船式捕鯨の仕組みを完成させた。この母船式捕鯨も他の捕鯨国が採用するところとなっていく。第二次世界大戦前には、イギリスと並んで南極海へ多数の捕鯨船団を送り出し、ザトウクジラシロナガスクジラを捕獲した。1930年から1931年の漁期に南極海での捕獲はピークとなり、イギリスと合わせ40隻の捕鯨母船・約250隻の捕鯨船を繰り出し、シロナガスクジラ約3万頭などから鯨油60万トンを生産した〔大村、120-127頁。〕。
第二次世界大戦の戦禍でノルウェーの捕鯨船は多数が失われたが、生き残りの船とドイツから戦争賠償として獲得した船、新造船によって再建された。1944年から1945年にかけての漁期には早くも1船団(世界で唯一)を出漁させ、翌年には6船団(他にイギリス3船団)が南極海で操業した。捕獲対象は、シロナガスクジラの資源減少から、ナガスクジライワシクジラが中心だった。戦後のピーク時には世界各国合わせて21船団が南極で操業していたうち、半数がノルウェー1国で占められていた。しかし、国際捕鯨委員会(IWC)による規制強化に伴い南極海からは次第に撤退し、日本ソビエト連邦よりは早い1968年には主要な操業を終えた〔大村、145-146頁。〕。
以後は、若干の南極海への再出漁の試みを除くと、後述するような大西洋でのミンククジラを対象とした沿岸捕鯨のみを行っている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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