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ハブーブ : ウィキペディア日本語版
ハブーブ

ハブーブ:haboob)とは、乾燥地域における強い砂嵐のこと。もともとは、「強い風」や「現象」を意味するアラビア語"هبوب"に由来するが、世界で広く使用されている。
アフリカ北部のサハラ砂漠アラビア半島クウェートイラクなどでは高い頻度で発生する気象現象である〔Sutton, L.J. 1925. Haboobs. Quarterly Journal of the Royal Meteorological Society 51:25-25.〕。北アフリカのハブーブは、ギニア湾からの湿った空気が南側にあり、その空気と砂漠の乾燥した空気との境目にできる、いわば夏(雨季)の前触れの前線とされる。一方、イラクやクウェートのハブーブは雷雨を伴う場合が多い。北アメリカの乾燥地域でもハブーブが時折発生する。アメリカでハブーブが多いのはアリゾナ州であり、主要都市ではユマフェニックスなどで特に多い〔Idso, S.B., Ingram, R.S. and Pritchard, J.M. 1972. An American haboob. Bulletin of the American Meteorological Society 53(10):930-955.〕〔Idso, S.B. 1973. Haboobs in Arizona. Weather 28(4):154-155.〕。
雷雨を伴う場合は、嵐の移動方向の前面だけではなく、後方も含めてあらゆる方向に風が吹き、ハブーブの砂嵐が襲来する。ただ、雨が降り始めると、風向きは一転して前面で強風が吹き荒れる〔Farquharson, J.S. 1937. Haboobs and instability in the Sudan. Quarterly Journal of the Royal Meteorological Society 63(271):393-414.〕〔Lawson, T.J. 1971. Haboob structure at Khartoum. Weather 26(3):105-112.〕〔Membery, D.A. 1985. A gravity-wave haboob? Weather 40(7):214-221.〕。
ハブーブの砂嵐は、下降気流、特にダウンバーストなどの突風で発生する。風が地面に到達すると、砂漠の乾燥した表を巻き上げて風にのせ、まるで巨大な「壁」のような外観をした、褐色の雲ができる。砂の壁は、最大で幅100kmにも達し、高さも数kmに達する。ハブーブの移動速度は時速35 - 50kmくらいで、備える暇もなく襲来してしまう場合がある。雨雲を伴うハブーブでは、上空で雨が降っているにもかかわらず、暖かく乾燥した空気によって上空で蒸発してしまう場合が多い(外からは尾流雲として観測される)。また、大量の砂塵が舞っている場合は、砂塵が水分を含んで降り注ぐ"mud storms"(泥の嵐)となることもある。ハブーブの際は、主に屋外では呼吸器が影響を受けるので対策をとる必要があり、ひどい場合にはシェルターなどに避難した方がよいとされている。

File:DustStormInSpearmanTexas19350414.jpg|ダストボウルの際のテキサス州のハブーブ、1935年4月。
File:Sandstorm.jpg|2005年4月、イラクのアル・アサード航空基地でのハブーブ。
File:Haboob, Taji, Iraq, 2006.JPG|2006年、イラクのハブーブ

== 脚注 ==


抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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