|
ヘルメース()は、ギリシア神話に登場する青年神である〔マイケル・グラント、ジョン・ヘイゼル 『ギリシア・ローマ神話事典』 大修館書店〕。長母音を省略してヘルメスとも表記される〔。 オリュンポス十二神の一人。神々の伝令使、とりわけゼウスの使いであり、旅人、商人などの守護神である〔。能弁、境界、体育技能、発明、策略、夢と眠りの神、死出の旅路の案内者などとも言われ、多面的な性格を持つ神である。その聖鳥は朱鷺および雄鶏。幸運と富を司り、狡知に富み詐術に長けた計略の神、早足で駆ける者、牧畜、盗人、賭博、商人、交易、交通、道路、市場、競技、体育などの神であるとともに、雄弁と音楽の神であり、竪琴、笛、数、アルファベット、天文学、度量衡などを発明し、火の起こし方を発見した知恵者とされた。プロメーテウスと並んでギリシア神話のトリックスター的存在であり、文化英雄としての面を有する。 == 概説 == ヘルメースはゼウスとマイアの子とされる〔。ゼウスはオリュンポス神族の伝令となる神を作るため、妻ヘーラーに気付かれないように夜中にこっそり抜け出し、マイアに会いに行くことで泥棒の才能を、ヘーラーに隠し通すことで嘘の才能を、ヘルメースが持つように狙った。特にゼウスの忠実な部下で、神話では多くの密命を果たしている〔。代表的なのは百眼の巨人アルゴスの殺害で、ヘルメースの異名「アルゲイポンテース」(この語釈についてはアルゴス (ギリシャ)#古代を参照)は「アルゴスを退治した者」と解される〔呉茂一 『ギリシア神話(上)』 新潮社〈新潮文庫〉、昭和54年、233頁。〕。古典期以降のヘルメースは、つば広の丸い旅行帽「」を頭に被り、神々の伝令の証である杖「ケーリュケイオン」を手に執り、空を飛ぶことができる翼の生えた黄金のサンダル()を足に履いた姿で表され、時には武器である鎌「ハルペー」(ショーテルとも)を持つ〔〔。 死者、特に英雄の魂を冥界に導く(魂の導者)としての一面も持ち、その反面冥界から死者の魂を地上に戻す役割も担っており、オルペウスが妻エウリュディケーを冥界から連れ出そうとした際に同行した〔。この点からタキトゥスはゲルマン人の主神であったウォーダン(北欧神話のオーディン)とローマのヘルメースたるメルクリウスを同一視している。また、アポローンの竪琴の発明者とされ、以下のような逸話が残っている〔。ほかにも骰子と天文学、アルファベットを発明したり、度量衡の制度を整えたりするなど、人間のためにさまざまな貢献をしている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ヘルメース」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Hermes 」があります。 スポンサード リンク
|