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バッハ弓 : ウィキペディア日本語版
バッハ弓[ばっはゆみ]

バッハ弓とは、20世紀後半にバッハの『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』を現代楽器で再現するために発明されたヴァイオリン用の特殊な弓。
== 概要と歴史 ==
ノーベル平和賞受賞者にして音楽家でもあるアルベルト・シュヴァイツァーによって「発明」され、湾曲弓とも呼ばれる。モダン・チェンバロなどと同じように19世紀からの古楽復興運動の中で史実考証の誤解によって生まれたもので、現代では完全に否定されている
現代のヴァイオリン弓は背中側に向けC形に曲がっているのが普通だが、バッハ弓は逆C型に大きく湾曲していること、また全体的に毛がゆるめに張られており、弓に取り付けられた調節器によって張力を大きく変えることが可能であることなどが特徴である。バッハ弓で弾く対象とされた『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』は4音同時の和音が多く要求され、しかもそれがポリフォニックに書かれているものばかりである。これをアルペジオに崩すことなく忠実に再現しようとすれば、弓はこのような形にならざるをえない。
現代の古楽考証においては、バッハ時代の楽譜というものは何がなんでも楽譜通り音を出さなくてはならない、といった厳密なものではなく、そのときの演奏者のレベルによっていくらでも解釈が可能なように作られていたことがわかっている。そこから推定して、その当時でも4音同時に音を鳴らしたのではなく、アルペジオに崩されていた(現代でもこの弾き方が主流)こと、従って実際にはバッハ弓はバッハ時代に存在しなかったであろうことはほぼ確実である。
バッハ弓はその誕生当初から専門家たちから散々な非難を受けていたが、シュヴァイツァーは自説を曲げずに押し通し、ラルフ・シュレーダーというヴァイオリニストに公開演奏をさせるまでにこぎつけた。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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