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バルチ(、) は、パキスタンが発祥のイギリス式のカレー料理で、鉄製の中華鍋に似た鉄鍋で調理し、給仕される。イギリスでは数多くのレストランがバルチ料理を提供している。バルチ料理の起源は正確には判っていないが、バーミンガムで発明されたと信じているものもいれば、パキスタン領カシミールのバルティスターンに起源があると信じているものもいる。 == 起源と語源 == バルチ料理は、まず1980年代からバーミンガムで広まった後、1990年代にイギリス全土に知られるようになった。「バルチ」という名については北パキスタンの民族名であると関係があると考える人々もいる。また、別の説では、調理に用いる鉄鍋を「バルチ」と呼ぶのだという。いずれにせよこの言葉の語源は、ウルドゥ語やヒンディ語の「バルティ ''balty''」と何らかの関係がある。19世紀末のインド英語の俗語語彙集『''Hobson-Jobson''』には、(、単数形では、バケツの意とある。ポルトガル語のと同じ)つまり、鋼か鉄製の鍋で、食品を調理したり給仕するもの指す「バルチ」は、ポルトガル語でバケツないし手桶を意味するに由来する、''balti'' から派生したものであり、元々は15世紀後半に大航海を展開したポルトガル人がインドに持ち込んだ言葉だった。原義はバケツだったものが、やがて調理鍋を意味するように変化したのである〔Yule, Henry, Sir. ''Hobson-Jobson: A glossary of colloquial Anglo-Indian words and phrases, and of kindred terms, etymological, historical, geographical and discursive'' . New ed. edited by William Crooke, B.A. London: J. Murray, 1903. A part of the Digital Dictionaries of South Asia .〕。 一方、イギリスのによれば、「バルチ」という言葉の起源は、パキスタン北部のバルティスターンに由来するものであり、当地では中華鍋に似た鋳鉄の鍋で調理をするのだという(バルティスターンは中国と国境を接している)。著書『''Curry Club Balti Curry Cookbook''』の中で、チャップマンは「バルチ鍋は底が丸く、中華鍋のような、重たい鋳鉄の器で把手が2つ付いている」と説明している。また、別の箇所ではの「バルチ料理の起源は広く様々なものに求められ、中国(香辛料の利いた四川料理に通じるところがある)、チベット、さらにカシミールの都市古来の伝統や、モンゴル帝国の宮廷料理、香り高いカシミールの香辛料、山岳地帯の高地の「冬の食品」などに至る」とも述べている。 テレビの料理番組でも知られるは、工場生産される様々なイギリス製のカレー・ソースを、自身の名を冠したブランドで市場に提供しているが、その瓶詰めの説明書きには、「バルチ」とは「ホイールカバー」を意味する言葉で、パキスタンのトラック運転手たちはホイールカバーでバルチを調理するのだ、とある。 「バルチ」という言葉については、BBCテレビの番組『''Balderdash and Piffle''』でも取り上げられた。文字として書かれた最古の例として、1982年にバーミンガムの地元地域紙に載ったレストランの広告のメニューがあり、1984年冬に出たカレー・クラブ(The Curry Club)の機関誌『''Curry Magazine''』29号に、読者からの質問に答える形でバルチの定義が述べられている。1982年以前に、この言葉が書かれたという証拠は乏しく、オックスフォード英語辞典も、カレー・クラブも、イギリスにおける「バルチ」の最初の使用例の確定に資する情報の提供を求めている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「バルチ (料理)」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Balti (food) 」があります。 スポンサード リンク
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