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バンツー血鉄症 : ウィキペディア日本語版
バンツー血鉄症
バンツー血鉄症(バンツーけつてつしょう、英語、Bantu siderosis)とは、鉄過剰負荷(鉄過負荷とも言う)がかかったことによって発症する鉄蓄積症である。患者はアフリカ大陸サハラ沙漠以南に見られた。
== 概要 ==
鉄蓄積症には、遺伝的な原因で体内に鉄を蓄積しやすいことで発生する遺伝性鉄蓄積症の他に、何らかの原因で体内に鉄が過剰に吸収されたことによって発生する環境が原因の鉄蓄積症が存在する。バンツー血鉄症は遺伝的な問題で起こる病気ではなく、後者の理由で発生する鉄蓄積症の1種であり、鉄製の容器の中で醸造したを大量に飲用したことによって生じた体内の鉄過剰によって引き起こされる

Vinay Kumar、Ramzi S. Cotran、Stanley L. Robbins 編集、森 亘、桶田 理喜 監訳 『ロビンス基礎病理学(第7版)』 p.768 廣川書店 2004年9月1日発行 ISBN 4-567-50307-4


つまり、単純に食習慣(飲酒習慣)の問題によって鉄を過剰に摂取し続け、それを吸収し続けたことによって発生した鉄過剰負荷による鉄蓄積症である。ヒトの体内からは代謝に伴って毎日微量の鉄が体外へと失われてゆくものの、ヒトには一旦体内に吸収した鉄を能動的に体外に捨てる仕組みが備わっていない

Vinay Kumar、Ramzi S. Cotran、Stanley L. Robbins 編集、森 亘、桶田 理喜 監訳 『ロビンス基礎病理学(第7版)』 p.768 廣川書店 2004年9月1日発行 ISBN 4-567-50307-4


このため、鉄を過剰に摂取し続けた場合、いずれ体内の鉄が過剰となってゆく。ヒトでは体内の鉄の蓄積量が約20 gを超えてくると、鉄によって発生する活性酸素種による障害や、鉄とDNAとが直接反応することによる障害が起こり、生体にダメージを与えるとされている

Vinay Kumar、Ramzi S. Cotran、Stanley L. Robbins 編集、森 亘、桶田 理喜 監訳 『ロビンス基礎病理学(第7版)』 p.768 廣川書店 2004年9月1日発行 ISBN 4-567-50307-4


この状態で生体が被る障害は可逆的であるものの、さらに鉄の蓄積が進行すれば不可逆的なダメージを生体は負う

Vinay Kumar、Ramzi S. Cotran、Stanley L. Robbins 編集、森 亘、桶田 理喜 監訳 『ロビンス基礎病理学(第7版)』 p.769 廣川書店 2004年9月1日発行 ISBN 4-567-50307-4


例えば、生体組織への鉄沈着が起こり、酷い場合は、肝細胞が障害されて肝硬変が発生したり、膵臓が繊維化してインスリンが作れなくなって糖尿病になったり、心筋などが障害されてゆく。なお、あくまで鉄の吸収能力が充分であればの話であるものの、バンツー血鉄症の発症原因から明らかなように、別に鉄製容器の中で作った醸造酒を大量に飲用し続けなくとも、何らかの方法で鉄の過剰摂取を長期間にわたって続ければ、全く同じ状況に陥り得る。例えば、鉄欠乏状態になく、かつ、鉄の吸収能力が正常なヒトが鉄剤を長期間にわたって服用し続けた場合などである

鉄欠乏状態にないヒトに対する鉄剤の投与は、鉄の過剰を引き起こす可能性があるために禁忌とされている。(フマル酸第一鉄カプセル などを参照のこと)。



抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「バンツー血鉄症」の詳細全文を読む



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