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バーバラ・ハットン : ウィキペディア日本語版
バーバラ・ハットン

バーバラ・ハットン (Barbara Hutton,1912年11月14日 - 1979年5月11日)は、アメリカのミリオネア、ソーシャライト
==プア・リトル・リッチ・ガール==
ニューヨークで生まれた。父は株式仲買人のフランクリン・ハットン。母はエドナ・ウールワース。母方の祖父フランク・ウィンフィールド・ウールワースは、スーパーマーケットチェーン「ウールワース」の創設者だった。フランクリンとエドナの夫婦仲は決して良くなかった。エドナは大金持ちの娘でありながら内気で社交界が嫌いだった。イエール大学出のエリートであるフランクリンは、派手好きで女性関係が絶えない男だった。1917年、精神不安定だったエドナは、ニューヨークのプラザホテルの一室で睡眠薬を飲んで自殺。自分の体の回りにアイリスの花を飾って死んでいった。5歳になるバーバラが、母親の遺体の第一発見者だった。
フランク・ウールワースには三人の娘がいたが、孫はバーバラと、エドナの妹の息子ジミーだけだった〔。エドナの死の二年後、フランクは67歳で死亡。その巨額の遺産の一部が孫娘のバーバラに残された。不動産・動産を含め、現在の貨幣価値で約5億6千万ドルという額にのぼる。7歳で世界で一番裕福な少女となったが、家庭の暖かさとは無縁に育つ。父フランクリンは、親としての愛情の薄い男だった。バーバラが成人するまでの彼女の財産の信託は彼にまかされ、彼の利殖・蓄財の才能で、次々と遺産の額を減らすどころか増やしていった。居場所のないバーバラは、親類の家や私立の寄宿学校を転々とした。どこに行っても、金のあることで敬遠された。心を許す友人もなかった。彼女に近づき、「財産目当て」と他人に揶揄されることを恐れる人、本当に彼女にたかるための人。バーバラの慰めは、母の愛したアイリスの花を飾り、自分のノートに詩を書きつづることだけだった。
21歳で社交界デビュー。父はそれを記念して、ニューヨークのリッツカールトンホテルで大規模なパーティーを開いた。四つのオーケストラ、200人のウェイターが動員された。1930年代の世界大恐慌のさなかであり、贅沢のかぎりをつくすパーティーをゴシップ紙は、「あのパーティー一つで飢えたアメリカ南部の農民を救える」と叩いた。
父は彼女の花婿候補にと、アイビーリーグに通う名門の御曹司を大勢招待したが、いざダンスが始まると誰一人、パーティーの華であるバーバラを誘いに行こうとしなかった。彼女とダンスを踊ると、財産目当ての男に思われる、というのが皆の一致した意見だった。
後年、イギリスの劇作家・俳優のノエル・カワードは彼女を評して、「かわいそうな金持ちの小さな女の子」(Poor Little Rich girl)と呼び、同名の歌を作った。ありあまる金が、彼女の孤独を招いているのは明らかだった。パーティーに出席すると、「お金があると幸せも買えるんでしょ。」と女性たちに皮肉られた。会場から出て待たせていたリムジンに乗り込もうとすると、有名人見たさに集まる群衆から、腐ったトマトや卵を投げつけられた。一度、硫酸をかけられたこともあった。安売りデパートであるウールワースの従業員たちは安い給料で長時間労働を強いられていたため、創業者一族の娘であるバーバラの桁はずれな浪費に怒り狂っており、経営陣たちからも苦々しく思われていたのである〔The heiress who blew the Woolworth's billions on vodka breakfasts, seven husbands and jewels galore By Christopher Wilson, Daily Mail, 28 November 2008 〕。彼女はこうした悪意から自分を守るために、ボディーガードを雇った。「私は世界で一番憎まれている女よ。」と自嘲的に語った。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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