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パブリックスクール (public school) *英国のイングランドおよびウェールズにおける私立の中等教育学校。インデペンデント・スクールの一種。本項で解説。 *アメリカの公立学校。アメリカでは、私立学校はプライベート・スクール(私立学校)またはインデペンデント・スクール(独立学校)という。 ---- 13歳~18歳の子供を教育するイギリスの私立学校の中でもトップの10%を構成するエリート校の名称。以前はその大部分が寄宿制の男子校であったが、現在は一部を除き共学制に移行している。イギリスのトップ大学に当たるラッセル・グループ、特にその頂点にあるケンブリッジ大学、オックスフォード大学などへの進学を前提とする。学費が非常に高く、入学基準が厳格なため、奨学金で入学を許された少数の学生以外は裕福な階層の子供達が、寮での集団生活を送っている。近年は、海外の金持ちの子供達がイギリスでの大学教育を見越して入学することが多くなっている。 ==経緯== 中世において学校とは地元の教会かギルドに付属しており、その目的は僧侶(見習い)および職人育成が目的とされており、入学資格も出身地、親の職業や宗派や身分などにより制限されていた。一方で貴族の階層の子弟の教育は在宅での個人教授を主としていた。しかし近世になるとともに、貴族の身分に属さない富裕階層であるジェントルマンが勃興するなかで、親の出生や身分に関係ない学校が必要となる〔Oxford English Dictionary, June 2010.〕。このような背景の中で、以前の学校と違い、一般(パブリック)に開かれた寄宿生の私立学校であるウェストミンスター校、ウィンチェスター校、イートン校、ハーロー校、ラグビー校、マーチャント・テイラーズ校、セントポールズ校、シュルーズベリー校、チャーターハウス校などがパブリックスクールと俗称されるようになる。これらの学校が非常に優秀な教育機関でありその活動には公共的意義があることが広く社会に認識されたことも「パブリック」スクールと呼ばれることになった一因であると言われている。 その後、1860年代に開かれたにおいて、パブリックスクールの定義やその社会的意義および責任が調査され、1868年のPublic Schools Act()によって、その呼称に法律的な定義が与えられる。これにより、前記の9校(後に、クラレンドン校と呼ばれるようになる)が法的に「パブリックスクール」として認可される一方で、これらの9校以外でも、条例の定義に当てはまる私立学校は「パブリックスクール」と呼ばれるようになり、現在ではスコットランドやアイルランドも含めた200余りの学校が「パブリックスクール」の団体であるに属する〔クラレンドン委員会報告書〕。 イギリスで一般に私立学校は国営でないという意味で「インデペンデント・スクール」と呼ばれる。また中等教育と高等教育を専門とするパブリックスクールに対して12歳以下の初等教育を専門とする私立学校はパブリックスクールに入学の準備をする学校という意味で、略してプレップ・スクール (Prep school)(あえて日本語に訳せば「予備学校」)と呼ばれる。これに対して公立学校は地元の生徒のみを受け入れるため「ステート(公立)スクール」と呼ばれる。「私立」学校、プライベートスクールという表現が使われないのは、英語でプライベートと言う表現は「営利」という含意がある一方で、パブリックスクールを含むイギリスのインディペンデント(独立・非国営)の学校はすべて非営利団体として登録されており税制上、「私立・営利」の企業と違い、課税の対象外であるからである。後者の団体に属する教育機関には家庭教師の斡旋企業などがあげられる。ただし、近年では、膨大な学費を課し、普通の大学よりも優れた施設を有し、一部の金持ちの子弟の教育施設に過ぎない学校を非営利団体として非課税にするのはおかしいとの批判が高まっており、優秀でも経済的に恵まれていない子供を奨学金などで入学させないと「非営利」団体の認可、ひいては非課税の権利を剥奪するとの政府の圧力を受けている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「パブリックスクール」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Public school (United Kingdom) 」があります。 スポンサード リンク
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