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ビロードモウズイカ(学名:''Verbascum thapsus'')はヨーロッパおよび北アフリカとアジアに原産するゴマノハグサ科モウズイカ属の植物である。アメリカとオーストラリア、日本にも帰化している。 ビロードモウズイカは、大きな葉のロゼットから伸長した長い花穂に黄色い小花を密集し、高さ2メートル以上にもなる毛深い二年生植物である。 この植物は、多様な環境で成長できるが、どちらかと言えば日当りのよい撹乱された土壌を好む。そのような場所では、大地が光を受ければすぐに、その場所の土壌シードバンクに存在していた寿命の長い種子から成長することができる。 ビロードモウズイカは、豊富に生産される種子によって広がる普通な雑草であるが、種子の発芽には開けた土地を必要とするため、攻撃的な外来種となることはほとんどない。 この植物は、非常に競合的な種というわけではなく、他の植物の陰に耐性がなく、耕起後に生き延びることもできないので、大部分の農作物に対しては大した害にならない。 ビロードモウズイカはまた、多種の昆虫に対する宿主でもあり、それらの昆虫のいくつかは他の植物の害虫となり得る。個々のビロードモウズイカを手で引き抜くことは簡単だが、個体群を恒久的に排除することは困難である。 ビロードモウズイカは伝統医療において収斂作用やを持つ薬草として広範に利用される。とりわけ、咳や呼吸器の病気や症状に対して利用されるが、また肌の多様な疾患に対する外用薬としても利用される。また、染料や松明を作るためにも使われた。 == 特徴 == ビロードモウズイカは、通常、二年生の双子葉植物であり、生活史における最初の年は葉のロゼットを生成する。 葉は大きく、長さ50cmに達する。二年目の植物は通常、高さ1〜2m程度で分岐しない単独の花茎をつける。中国東部では1.5m程度になることが報告されている。 この棒状の花茎の先端部は、花を密に付ける花穂になっている〔。花穂は花茎の長さの半分を占めていることもある。この植物のすべての部分は星型の毛状突起で覆われている〔。この毛は特に葉で密であり、葉に銀色の外見を与えている。この植物の染色体数は2n= 36である。 開花中のビロードモウズイカでは、葉がこの花茎を旋回状に取り巻いている。葉は厚く、葉柄部は茎に沿って翼状に下に流れる(沿下する)。茎の上方と下方の葉の間には、長楕円形から倒披針型まで多様な形態がある。葉の長さは50cm、幅は14cmに達する。茎が伸びるにつれて上方の葉ほど小型になり〔〔、花茎への強い沿下も減少する〔 。 花茎は単体で、太さ2-2.5cm。時として(通常は末端が損傷した場合に)花序のちょうど下から分岐する〔。 通常、茎と果実は、固く乾燥して濃い茶色に乾いた茎茎に卵型の乾いた莢膜が密につまった構造を保ちながら、開花および種子散布後までも、冬の間ずっと、時には翌春まで、あるいは翌夏までさえそのままの姿で残っている。この植物の主根は浅い〔。 花は、5浅裂した萼筒と5裂した花冠、および花弁に合着した5本の雄蘂を持つ合弁花であり、花弁は明るい黄色で直径1.5–3 cm。花は長さ2mm程度の非常に短い花柄を持ち、ほとんど無柄。5本の雄蘂には二つの型がある。上方3本の雄蘂はより短く、花糸は黄色または白っぽい毛に覆われ、より小さい葯を持つ。下方の二つの雄蘂は無毛の花糸とより大きい葯を持つ。〔 〔亜種 subsp.''crassifolium''と subsp.''giganteum''においては、すべての雄蘂が毛に覆われている。〕 果実は、二つの裂片に裂開する約6mmの小さな楕円形のさく果であり、各室には多数の茶色い微小な(1mm以下の)縦筋のある種子を含んでいる。 白い花の変種(''V. thapsus'' f. ''candicans'')が発生することが知られている〔 〕。花は初夏から晩夏にかけて(北ヨーロッパであれば6月から最盛期の8月にかけて〔)約3か月咲きつづける。花期の長さは花茎の長さに関連し、背の高い花茎は9月下旬から10月上旬まで咲きつづける〔。 花は花穂の下から咲き始め、不規則に上の方に進行していく。各花は花茎を取り巻く数個の花だけが同時に、一日の一部だけ開花する〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ビロードモウズイカ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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