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ピアノ・フェイズ(''Piano Phase'')は、スティーヴ・ライヒが1967年に作曲した2台のピアノのためのミニマル・ミュージックの楽曲。ライヒがフェイズ・シフティングの技法を生身の奏者に応用した作品である。フェイズ・シフティングは彼がそれまで「」(1965年)や「」(1966年)で用いていた技法である。 == 概要 == ライヒのフェイズ・シフティングの楽曲は多くの場合、2つの同一の音の流れが同期して開始され、その片方がわずかに速度を上げることによって同調していた両者がずれを生じるという形で書かれている。過去にテープのみの楽曲を作曲してはいたものの、ライヒはこれらに関して「固定的過ぎる」と感じていた〔 ''Piano Phase'' dans « Introductions par Steve Reich de ses œuvres » sur le site de WQXR〕。また彼は既に「」(1966年)において、楽器(ソプラノ・サクソフォン)と磁気テープの組み合わせを試していた。そこで1966年の終わりの「ピアノ・フェイズ」ではこれと同じ発想に基づき、磁気テープと独奏楽器による音楽を書くことになった〔Potter (2000), p.182〕。 2台のピアノが手元にないわけではなかったが、ライヒは当初1人で演奏する楽曲としての作曲を行った。まず第1奏者のパートを磁気テープに録音し、12の音がずれていくように第2奏者のパートを弾いてみたのである。この実験の結果、彼は生身の奏者でも集中することで機械に代わる役割を十分果たせるという確信を得た〔。さらに彼にとって面白かったことは、前もって演奏内容が取り決められているこの楽曲では奏者が楽譜を見る必要がなく、もっぱら音を聞いて楽しみながら演奏するということが可能だったという点である〔 Steve Reich, ''Writings on Music 1965-2000'', Oxford University Press, 2002, p.22-25 〕。こうして「ピアノ・フェイズ」は、ライヒが録音と独奏楽器を組み合わせて作った最初の公式作品となった〔Ses œuvres de jeunesse et d'études n'ayant jamais été publiées (voir article Steve Reich)〕。 で「リード・フェイズ」の初演が行われた1967年の初頭、ライヒと友人の音楽家であるアーサー・マーフィー(Arthur Murphy)は2台のピアノの生演奏によって「ピアノ・フェイズ」を演奏してみる機会を得た。これにより、ライヒはテープという機械の助けを借りずとも、フェイズ・シフティングを完全に再現可能であることに気付いた。ライヒは様々な版を検討して、2台のピアノによる最終版に至るまでの1967年3月には、4台の電子ピアノによる「フォー・ピアノズ ''Four Pianos''」と題した版も作成している。これは1967年3月17日にニューヨークのパーク・プレイス・ギャラリー(Park Place Gallery)において、マーフィー、ジェームズ・テニー、とライヒ自身によって披露されている〔Potter (2000), p.195〕。 ライヒはこの技法をさらに発展させ、「ヴァイオリン・フェイズ」(1967年)、「フェイズ・パターンズ」(1970年)、「」(1971年)などの曲を生み出している。「ドラミング」は、これまでのところ彼がフェイズ・シフティングを用いた最後の作品である。 ライヒは後に2台のマリンバ用にも改変しているが〔Paul Epstein, ''Pattern Structure and Process in Steve Reich's Piano Phase'', Oxford University Press, The Musical Quarterly 1986 LXXII(4):494-502.〕、原曲より1オクターブ低い音程で演奏されるのが一般的である。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ピアノ・フェイズ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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