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ピリドキサールリン酸(ピリドキサールリンさん、Pyridoxal phosphate、PLP)またはピリドキサール-5'-リン酸(pyridoxal-5'-phosphate、P5P)は、いくつかの酵素の補欠分子族の一つ。ビタミンB6の活性型である。 == 補酵素としての役割 == PLPはアミノ酸のすべてのアミノ基転移、いくつかの脱炭酸および脱アミノを行う補酵素である。PLPのアルデヒド基はアミノトランスフェラーゼの特定のリシンのε-アミノ基と結合してシッフ塩基を形成する。基質アミノ酸のα-アミノ基と反応すると、リシン残基の活性部位のε-アミノ基と移し替えられる。これによって生じるアルドイミンはキノイド中間体となるために脱プロトン化され、キノイド中間体はケトイミンになるために別の位置でプロトンを受容する。生じたケトイミンはアミノ基が複合体に残るように加水分解される〔Toney, M. D. "Reaction specificity in pyridoxal enzymes." Archives of biochemistry and biophysics (2005) 433: 279-287.〕。 PLPはペロサミン、デソサミンのような珍しい糖を合成するアミノトランスフェラーゼ(またはトランスアミナーゼ)によっても使われる〔Samuel, G. and Reeves, P. "Biosynthesis of O-antigens: genes and pathways invovled in nucleotide sugar precusor synthesis and O-antigen assembly." Carbohydrate research (2003) 338:2503-2519.〕。この反応ではPLPはグルタミン酸と反応し、ピリドキサミンリン酸(PMP)を作るためにPLPへそのα-アミノ酸が転移する。PMPはその窒素を糖へ転移させ、アミノ糖を形成していく。 また、PLPはセリンデヒドラターゼ(EC:4.3.1.17)やGDP-4-ケト-6-デオキシマンノース-3-デヒドラターゼ(ColD)などのβ脱離反応〔、さらにヘム生合成の縮合反応にも関係する。 PLPはリシン代謝のトランスアミナーゼ反応には関係しない。PLPはレボドパをドーパミンへ変換する役割を持つ。PLPは興奮性神経伝達物質のグルタミン酸を、抑止性神経伝達物質のGABAへ転換する。PLPはポリアミンの前駆体であるプロピルアミンを形成するためS-アデノシルメチオニンを脱炭酸する。PLPは脱炭酸を通してヒスチジンをヒスタミンに転換する。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ピリドキサールリン酸」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Pyridoxal phosphate 」があります。 スポンサード リンク
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