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財政の崖(ざいせいのがけ、英語:fiscal cliff、フィスカル・クリフ)とは、アメリカ合衆国連邦準備制度理事会議長ベン・バーナンキが使い出し広まった経済用語である。 == 経緯 == === 財政の崖に対する懸念 === アメリカはジョージ・W・ブッシュ政権の時から時限的なブッシュ減税を行っていたが、2010年12月にバラク・オバマ大統領は2008年のリーマン・ショック後の景気低迷に対応するためにブッシュ減税を2012年12月31日(以後、現地日時)までの2年間延長する法案に署名した。しかし、これによりアメリカ政府の財政赤字が積み上がり、2011年5月16日に米連邦債務は法定上限額に到達し、アメリカ財務省はデフォルト回避のために特別措置を行った。特別措置の期限日となる2011年8月2日に民主・共和両党は政府の歳出を削減する内容を含んだ債務上限引き上げ法案に合意・可決した。これにより、以後、具体的な歳出削減案の合意に至らなかった場合は、ブッシュ減税の延長措置が切れる2013年1月1日から9年間かけて公共事業・社会保障・国防等の政府の全ての分野の歳出が、合わせて1.2兆ドル分強制的に削減されることになった。1.2兆ドル削減の約半分は国防費となる〔米「財政の崖」回避でも禍根 2ヵ月後の交渉はまたも難航か 、週刊ダイヤモンド 2013年1月10日〕。 仮にこれが実施されれば、ブッシュ減税の終了と強制的な歳出削減により、GDP比で3.3%に相当する5000億ドル(約40兆円)分の財政赤字が解消されるとされたが、何らかの追加的な対策措置が行われない限り、ブッシュ減税の延長期限が切れて9割の家計が実質的増税となり家計平均税率が約4.5%上がる上に、大幅な歳出削減も加わるダブルパンチで、アメリカの景気が崖から落下するように悪化し、アメリカ経済のみならず世界経済に甚大な影響も与える可能性があると予想された。この懸念を「財政の崖」と呼ぶ。なお、これにより、2011年8月5日にスタンダード&プアーズは米国債の長期発行体格付けを格下げし、8月8日に世界の株式・通貨・債権市場で米国債ショックが起こった〔〔「財政の崖」Q&A 〕〔「財政の崖(フィスカル・クリフ)」とは 〕〔財政の崖 -米大統領選に左右される日本の景気 〕。 そして大きな政府を志向する民主党は増税には賛成だが歳出削減には否定的で、小さな政府を志向する共和党は増税には大反対だが歳出削減には積極的なため、民主・共和両党の間で具体的な税と歳出の行方を合意することができず、期限日となる2012年12月31日に、ようやく、民主・共和両党は上・下院で、富裕層を除く層を対象にした減税の恒久化と世帯年収45万ドル以上の富裕層に対する増税を実施して家計の平均税率を1.8%増に抑えた上で、歳出の強制削減を2013年2月28日までの2ヶ月間凍結する法案を可決した。これにより大幅な実質増税と強制歳出削減のダブルパンチによる財政の崖は回避された〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「財政の崖」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 United States fiscal cliff 」があります。 スポンサード リンク
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