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フェレドキシン : ウィキペディア日本語版
フェレドキシン
フェレドキシン () は、内部に鉄-硫黄クラスター (Fe-Sクラスター) を含む鉄硫黄タンパク質の一つであり、電子伝達体として機能する。ヘムを含まない非ヘムタンパク質(他にルブレドキシン、高電位鉄-硫黄タンパク質など)のひとつであり、動物から原核生物まで広く分布する。光合成窒素固定炭酸固定水素分子の酸化還元など主要な代謝系に用いられる。酸化還元電位 (''E''0') は−0.43V。略号はFdである。
比較的小さなタンパク質であるために、エドマン分解法などで古くからアミノ酸配列が調べられ、生物の系統解析などに使用されていた。しかしながら現在は情報量が少ないこともあいまって系統解析に使用されることはない。
== フェレドキシンの種類と酸化還元様式 ==

フェレドキシンはタンパク質アミノ酸配列や保有している生物よりはむしろFe-Sクラスターの種類によって分類される。Fe-Sクラスターは以下の種類から構成される。
;
:および硫黄(不安定硫黄)が2つずつ結合している。植物や動物のフェレドキシンはこの形状のみである。真正細菌および古細菌高度好塩菌)もこのフェレドキシンを有する。
;
:が酸化状態でこの形状になるといわれているが、この形状を生理学的に利用する生物も存在する。真正細菌、古細菌のみが有する。
;
:このクラスターは完全な立方体を形成しており、フェレドキシンおよび高電位鉄-硫黄タンパク質にみられる。より嫌気的環境で機能する。真正細菌および古細菌(メタン菌好熱菌)が有する。
また、1つのフェレドキシン内に複数のクラスターを有するものもあり、そのようなフェレドキシンは以下の表記がなされる。
* を1つずつ持つもの - フェレドキシン
* を2つ持つもの - あるいは2フェレドキシン
メタン菌はポリフェレドキシンというクラスターを12個有するフェレドキシンを持っている。このようにフェレドキシン内のFe-Sクラスターの種類と数は多様である。
フェレドキシンの酸化還元様式はそれぞれのクラスターで以下のようになっている。
;
:2 Fe3+ (酸化型) \rightleftarrows Fe3+•Fe2+ (還元型) \rightleftarrows 2 Fe2+ (超還元型
*)
;
:3 Fe3+ (超酸化型
*) \rightleftarrows 2Fe3+•Fe2+(酸化型) \rightleftarrows 1Fe3+•2Fe2+ (還元型)
;
:3Fe3+•Fe2+ (超酸化型
*) \rightleftarrows 2 Fe3+•2Fe2+ (酸化型) \rightleftarrows Fe3+•3Fe2+ (還元型)
なお、
*印のついた状態は生理状態では存在せず、精製したフェレドキシンに還元剤酸化剤を加えることにより見ることのできる状態である。こうした酸化還元状態は電子スピン共鳴(ESR、あるいは常磁性共鳴、EPR)によって調べることができるが、2つの鉄のスピンが互いに打ち消しあうため型のスペクトルは還元状態でしか見ることができない。
メタン菌はポリフェレドキシンというクラスターを12個有するフェレドキシンを持っている。このようにフェレドキシン内のFe-Sクラスターの種類と数は多様である。
フェレドキシンの酸化還元様式はそれぞれのクラスターで以下のようになっている。
;
:2 Fe3+ (酸化型) \rightleftarrows Fe3+•Fe2+ (還元型) \rightleftarrows 2 Fe2+ (超還元型
*)
;
:3 Fe3+ (超酸化型
*) \rightleftarrows 2Fe3+•Fe2+(酸化型) \rightleftarrows 1Fe3+•2Fe2+ (還元型)
;
:3Fe3+•Fe2+ (超酸化型
*) \rightleftarrows 2 Fe3+•2Fe2+ (酸化型) \rightleftarrows Fe3+•3Fe2+ (還元型)
なお、
*印のついた状態は生理状態では存在せず、精製したフェレドキシンに還元剤酸化剤を加えることにより見ることのできる状態である。こうした酸化還元状態は電子スピン共鳴(ESR、あるいは常磁性共鳴、EPR)によって調べることができるが、2つの鉄のスピンが互いに打ち消しあうため型のスペクトルは還元状態でしか見ることができない。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「フェレドキシン」の詳細全文を読む



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