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フェーリング反応 : ウィキペディア日本語版
フェーリング反応[ふぇーりんぐはんのう]

フェーリング反応(フェーリングはんのう)(化学の教科書ではフェーリング液の還元という)は、アルデヒド糖類の還元性に由来する化学反応の一つである。

== 原理と反応 ==
フェーリング液に還元性物質(ホルミル基を持つ物質)を加えて温めると、酸化銅(I) (Cu2O) の赤色沈殿が生成するというもので、還元性物質の検出や定量に用いられる。なお、ギ酸はホルミル基を有するが通常の条件ではフェーリング反応を示さない。これは、フェーリング液が塩基性であるためギ酸が電離し、生じたギ酸イオンは銅(II)イオンとキレート錯体を形成するためである〔蟻酸に関する銀鏡反応とフェーリング反応 化学と教育(日本化学会)43, 718 (1995)〕。ベンズアルデヒドなどの芳香族アルデヒドもフェーリング反応(フェーリング液の還元)を示さない(アルデヒド基のCOとベンゼンの二重結合との共鳴効果による安定化が原因)。
: R-CHO + 2Cu2+ + 4OH- → R-COOH + Cu2O + 2H2O
もしくは、
: R-CHO + 2Cu2+ + NaOH +H2O → R-COONa + Cu2O + 4H+
フェーリング液とはドイツの化学者ヘルマン・フォン・フェーリング1848年に発明した試薬である。下記のA液・B液を使用直前に等量混合する。なお、同様の原理を持つ試薬である、ベネジクト液がある。詳細は文中に記述する。
* A液: 硫酸銅(II)五水和物 CuSO4・5H2O 3.46g を水 50.0mL に溶かす。
* B液: 酒石酸カリウムナトリウム(ロッシェル塩)KOOCCH(OH)CH(OH)COONa 17.3g と水酸化ナトリウム NaOH 5.0g を水 50.0mLに溶かす。
A液の銅(II)イオンは、B液の水酸化ナトリウムによって塩基性になると、一度、水酸化銅(II)Cu(OH)2の青白色沈殿を生じてしまう。しかしB液にある酒石酸イオンによって安定な状態(銅のキレート錯イオン)で深青色の溶液となり、銅(II)イオン濃度を低く保ちながらも溶液中のアルデヒドによって還元されやすくなるように工夫されている。
銅(II)イオンの還元反応に注目した半反応式
: 2Cu2+ + 2OH- + 2e- → Cu2O + H2O
アルデヒドなどの酸化反応に注目した半反応式
: R-CHO + 2OH- → R-COOH + H2O + 2e-
なお、同じ原理を利用した同様の用途に使われる試薬であるベネジクト液は、糖以外の物質(尿素)に反応したり、長期保存に耐えられない等といったフェーリング液の欠点を改良したものである(その代わり、反応の鋭敏さではフェーリング液が秀でている)。特徴としては、酒石酸カリウムナトリウムの代わりに、クエン酸ナトリウムを用いている点である(還元性の糖検出時に酸化銅(I)の赤褐色沈澱を生じる点は同一)。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「フェーリング反応」の詳細全文を読む



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