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許萬元(ホ・マンウォン、허만원、1933年-2005年8月25日) は、朝鮮済州道出身の弁証法研究者。立命館大学文学部教授。 東京の朝鮮人中高校在学中、林光徹校長にすすめられ、中央大学で哲学を学び、東京都立大学大学院へ。寺沢恒信教授の薫陶を受け、1968年博士課程修了。文学博士(東京都立大学)。在日朝鮮人として初の東京都職員として東京都立大学助手になる。1983年に立命館大学へ。趣味は囲碁。 == 弁証法 == 弁証法を三つの法則 (「量から質への転化、またはその逆」・「対立物の相互浸透」・「否定の否定」)に集約する見方(唯物弁証法)や正反合の図式を批判し、弁証法の本質論として、内在主義・歴史主義・総体主義の三位一体論を提起した。 許萬元の弁証法の理論には次のような特徴がある。 1 弁証法の三大特色 ヘーゲルが弁証法の創始者としてゼノン・ヘラクレイトス・プラトンをあげていること(『哲学史講義』)に着目して、ヘーゲルは出自の異なる三つの弁証法(内在的弁証法・生成の弁証法・総体性の弁証法)を一つに統一したと考え、弁証法の三大特色として、内在主義・歴史主義・総体主義を指摘した。 内在主義とは対象を自己運動として把握すること、歴史主義とは過程・否定性に真理をみること、総体主義とは有機的体系・肯定性に真理をみることである。三つの特色はヘーゲルにもマルクスにも共通するが、内容は異なっている。 2 弁証法の二大機能 「論理的なものの三側面」の規定(ヘーゲル『小論理学』)に着目して、弁証法の二大機能として、理性の否定作用と理性の肯定作用を指摘した。理性の否定作用が歴史主義の原理である。また、理性の肯定作用が総体性の原理である。 3 矛盾論 概念の自己運動と矛盾の同等性を主張し、矛盾に2種類あることを指摘した。否定的理性の必然性にもとづく「闘争矛盾」と肯定的理性の必然性にもとづく「調和矛盾」である。 4 ヘーゲルとマルクスの弁証法の違い ヘーゲルとマルクスの弁証法の違いは、観念論か唯物論かという前提だけでなく、内的な構造にも違いがあることを指摘した。前提の違いは、内在主義の内容の違いに対応する。内的構造の違いは、歴史主義と総体主義の統一の仕方の違いに対応する。 ヘーゲル弁証法の統一構造は、「論理的なものの三側面」に示され、「絶対的総体主義にもとづく歴史主義」である。これに対して、マルクスの弁証法は「絶対的歴史主義にもとづく総体主義」である。 5 即かつ対自的考察法 「即自→対自」の論理には、存在の潜在態と顕在態という存在論的意味だけでなく、対象の内在的考察という認識論的意味があることを指摘した。即かつ対自的考察法は、弁証法における学的認識の重要な特徴である。これが、レーニンの「認識論としての弁証法」という問題を解く鍵である。 6 概念の自己運動 概念の自己運動は、現実の動的・必然的性格と対応する。これは、ヘーゲルにおいてではなく、反映論的同一性の立場に立つ唯物論において、はじめて実現されると指摘した。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「許萬元」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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