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フクロウオウム : ウィキペディア日本語版
フクロウオウム

フクロウオウム(梟鸚鵡)またはカカポ((カーカーポー)「夜のオウム」; 学名: ''Strigops habroptilus'')は、ニュージーランド固有の夜行性オウムの一種である。世界で唯一飛べないオウムであること、最も体重が重たいオウムであること、レックという繁殖法をもつ点が注目に値する。また、世界で最も長生きのオウムかも知れないとも考えられており、フクロウオウム亜科(''Strigopinae'')フクロウオウム属(''Strigops'')に属し、近縁はミヤマオウム属と考えられている。
絶滅の瀬戸際に瀕する種である。現在確認されている個体数は高々百数十羽程度であり、そのすべてに名前がつけられ、ニュージーランド国内で手厚い保護の下に置かれている。詳細については#保全節を参照のこと。
フクロウオウムは飛ぶことができない。もともとニュージーランドには陸生の哺乳類が全くいなかったため、そこに大きなニッチが存在した。フクロウオウムは、他の地域におけるウサギなどに相当するような、いわば“小型の地上性草食獣”のニッチに入り込む形で、陸上生活に適応し、飛ぶ能力を捨てたものであると考えられる
9世紀以降、ポリネシア人ヨーロッパ人による移住・植民によってネコネズミイタチなどの捕食者が侵入し、さらにヨーロッパ系移民による牧場開発に伴う環境破壊もあって、フクロウオウムのほぼ全てが死滅してしまった。1890年にフクロウオウムに対する保護の努力が始まったが、1980年の「フクロウオウム保護計画」が始まるまでは、はかばかしい成果は上げられなかった。生存する全てのフクロウオウムは肉食獣のいない二つの島、すなわち南西部に位置するチャルキー島スチュアート島の近くのコッドフィッシュ島へ移され、注意深く観察されている。
== 特徴 ==
大きな太ったオウムで、オスの成体で体長が60cmに達し、体重は3~4kgである。その大きさに対して小さな翼しか持っておらず、鳥が飛行するために必要な筋肉につながる竜骨が著しく退化しているため、飛行能力はない。翼は、バランスをとったり、体を支えたり、木から跳ねた時落下を防ぐために使う程度である。他の陸上性の鳥と違い、エネルギーを蓄えるために、体の大半に脂肪を蓄積することが可能である。
背中には黒の縞模様の入ったモスグリーンの羽を持っており、草木の中にうまく紛れ込む。羽は飛ぶための強さと硬さが不要なため、きわめて柔らかい。その下腹部、首と顔は黄色がかっている。顔は平面的で、フクロウの顔に似ている。そのため、初期のヨーロッパの移民から「フクロウオウム」と呼ばれた。くちばしの周囲には繊細な「ひげ」が生え、頭を下げて地面を歩く時には、地面を感知するのに役立っている。常に地上にいることから、尾羽の端は地面を引きずっていることが多い。
くちばしは、きれいに食物をすりへらすことができるようになっているため、同じような大きさの他の鳥と比較すると、砂嚢は非常に小さい。足は大きく、羽毛が生えておらず、うろこ状の皮膚がむき出しになっている。全てのオウム類同様に対指足(前に2本、後ろに2本)で、特に木などに登るのに役立つ。
夜行性であり視覚にはあまり頼れないため、かなり発達した嗅覚を持っている。これによって、食物を探し当てることができる。この能力はオウムの仲間で唯一の事例である。体から強い芳香を発しており、カカポの最も大きな特徴の一つとされている。その芳香は、骨董バイオリンケースの内部、花、蜂蜜、エアフレッシャーなどとさまざまに形容される。カカポのかなり発達した嗅覚を考えると、この芳香は、個体間での識別信号であると考えられている。しかし、この芳香は、しばしば捕食者に対して無防備な状態を招きがちで、このことも、カカポの数が減少している一因となっている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「フクロウオウム」の詳細全文を読む



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