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フラウト・トラヴェルソ(伊:Flauto traverso)は木管楽器の古楽器の一種で、今日のフルート(モダン・フルート)の前身となった横笛である。略して「トラヴェルソ」と呼ばれることも多い。 == 概要 == バロック期以前には、西洋音楽においてフルートといえば縦型のリコーダーの方が主流であったことから、「traverso(横向きの)」という修飾語を付けてフラウト・トラヴェルソと呼ばれていた〔奥田恵二 『フルートの歴史』 音楽之友社,1978年〕。トラヴェルソのうち、バロック期に作られたものは「バロック・フルート」、古典派からロマン派の時代に作られたものは「クラシカル・フルート」「ロマンチック・フルート」と呼んで区別することもある。 バロック期における典型的なトラヴェルソにはトーンホールが7つあり、歌口に近い側の6つの穴は、左手の第2 - 4指と右手の第2 - 4指で直接押さえる。最下流の穴には指が届かないので、右手第5指で押すと穴が開くシーソー形のキーが設けられている。この形態から「1キーフルート」とも呼ばれる〔Janice Dockendorff Boland, Method for the One-Keyed Flute, University of California Press, ISBN 978-0-520-21447-7〕。頭部管・中部管・足部管の3部分に分割されるものと、頭部管・左手管・右手管・足部管の4部分に分割されるものとがあり、キーは足部管に付いている。モダン・フルートはキーを必ず右側にして構えるが、1キーフルートは足部管を回転させれば左側に構えることもでき、この場合キーは左手第5指で操作する。 キーの付いたトーンホール以外は直接指でふさぐため、必然的にトーンホールの大きさが限られ、小さな音量しか出すことができない上、全体にややこもった暗い感じの音ではあるが、多様な音色を持ち、繊細で豊かな表現が可能である。音域はD4からE6までというものが一般的であるが、B6までの運指が知られており〔、A6あたりまでは出しやすい楽器もある。いわゆるD管であるにもかかわらず、楽譜は実音で記譜されたため移調楽器ではない。長調について考えると、D-dur(ニ長調)、G-dur(ト長調)、A-dur(イ長調)は比較的大きな音量で演奏できるが、それ以外の調ではクロスフィンガリングによって出す弱々しく不安定な半音が多くなるため、演奏は容易ではない。つまり、五度圏の図で D-dur(ニ長調)から遠い調ほど演奏が困難になっていく。 1キーフルートは、今なお古楽器愛好家のために復元楽器が多数製作されている。いわゆるアイリッシュ・フルートもトラヴェルソの生き残りであり、こちらはキーの無いシンプルなものが多いが、クラシカル・フルートのような多キーのものも作られている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「フラウト・トラヴェルソ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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