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『ブラック家の祭壇画』(ブラックけのさいだんが、)は、初期フランドル派の画家ロヒール・ファン・デル・ウェイデンが1452年ごろに描いた三連祭壇画。オーク板に油彩で描かれた板絵で、現在はパリのルーヴル美術館が所蔵している。左翼パネルに描かれているのは洗礼者ヨハネ、中央パネルに描かれているのは聖母マリア、イエス・キリスト、福音記者ヨハネ、右翼パネルに描かれているのはマグダラのマリアである。 この作品の依頼主は、トゥルネーのジャン・ブラック、あるいは1452年に若くして急逝したジャンを偲んだ妻カテリナ・ド・ブラバンではないかと考えられている。また、『ブラック家の祭壇画』は、ファン・デル・ウェイデンが個人の依頼で手がけた三連祭壇画のなかで、唯一現存している作品である〔Blum, p.30〕。 == 外観 == === 外面 === 『ブラック家の祭壇画』の左翼パネル外面には、レンガあるいは石の破片にもたれるように黄褐色の頭蓋骨が描かれており〔Blum, p.31〕、その右上の楯に描かれている麦束はブラック家の紋章である〔。右翼パネル外面には、十字架の中にラテン文字で『シラ書』(41:1-2) からの引用が書かれている。さらに左翼パネルの上下端には「自分たちがいかに虚栄に満ちた存在であるかを忘れるな / かつて美しかった私の身体も今では虫どものエサになっている」という、死への警句(メメント・モリ)が書かれている〔Bätschmann and Griener, p.151〕。 これらのことから描かれている頭蓋骨は旧約聖書のアダムの隠喩であり、ひいてはこの作品を観る者の将来を表現していると考えることができる〔〔Bätschmann and Griener, p.152〕。また、寓意的静物画の分野ヴァニタスで、最初に頭蓋骨を用いた作品の一つであるとされている〔Lamb, p.43〕。頭蓋骨のほかに、レンガの破片にもなんらかの意味があると考える研究者も存在する。頭蓋骨がアダムを意味しているのであれば、この破片はキリストが磔刑に処せられたゴルゴダの丘の象徴ではないかという説などである〔。しかしながら、ファン・デル・ウェイデンあるいは依頼主が何を意図していたにせよ、フランスの王族ヴァロワ家の顧問、金融機関として確固たる地位を築いていたブラック家自体には、象徴的な意味においてあまり似つかわしい内容ではないと思われる〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ブラック家の祭壇画」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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