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失われた時を求めて[うしなわれたときをもとめて]

失われた時を求めて』(うしなわれたときをもとめて, ''À la recherche du temps perdu'')は、マルセル・プルーストによる長編小説。1913年から1927年までかかって刊行された。ジェイムズ・ジョイスユリシーズ』と共に20世紀を代表する小説の一つとされている〔篠田一士 『二十世紀の十大小説』、新潮社、1988年など。〕。
== 概要 ==
本作品は、プルーストが半生をかけて執筆した大作であり、その長さはフランス語原著にして3000ページ以上〔石木、5頁〕、日本語訳では400字詰め原稿一万枚にも及ぶ〔鈴木道彦訳 『抄訳版 失われた時を求めて』 第1巻、6頁(まえがき)〕。プルーストは、1908年頃から「サント=ブーヴに反論する」という評論を書き出し、そこから徐々に構想が広がり、『失われた時を求めて』の題を持つ小説になっていった。外部の騒音を遮るため、コルク張りにした部屋に閉じこもって書き続け、1913年に第1編を自費出版、当初3巻の予定がその後さらに長大化していった。1919年、第二篇『花咲く乙女たちのかげに』はゴンクール賞を受賞した。第四篇まで完成したところで、プルーストは死去した(1922年)。第五篇以降も書きあげていたものの未定稿の状態であった。弟らが遺稿を整理して刊行を引継ぎ、第七篇を1927年に刊行して、ようやく完結した。
物語は、ある日語り手が口にしたマドレーヌの味をきっかけに、幼少期に家族そろっての休暇を過ごしたコンブレーの町全体の記憶が鮮やかに蘇ってくる、という「無意志的記憶」の経験を契機に展開していき、その当時暮らした家が面していたY字路のスワン家の方とゲルマントの方という2つの道のたどり着くところに住んでいる2つの家族たちとの関わりの思い出の中から始まり、自らの生きてきた歴史を記憶の中で織り上げていくものである。第一次世界大戦前後の都市が繁栄したベル・エポックの世相風俗を描くとともに、社交界の人々のスノビズムを徹底的に描いた作品でもある。
物語全体はフィクションであるが、作者の自伝的な作品という要素も色濃い。名前のない主人公の「私」は、プルースト自身を思わせる人物で、少年期の回想や社交界の描写などにプルーストの経験が生かされている。また、結末で「時」をテーマにした小説を書く決意をするシーンがあり、作品は円環を描いていると考えられる。同性愛が重要なテーマの一つになっており、これは、プルースト自身同性愛者であることと、秘書を務めた「恋人」が飛行機事故死したことが、主人公の恋人アルベルチーヌの死に置き換えられていると言われている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「失われた時を求めて」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 In Search of Lost Time 」があります。



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