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プレオン : ウィキペディア日本語版
プレオン
プレオン (preon) とは、素粒子物理学においてクォークレプトンを構成すると考えられている仮想上の点粒子である。この語は、1974年にJogesh Patiおよびアブドゥッサラームによって作られた。プレオンモデルへの関心は1980年代に最も高まり、標準模型が素粒子物理をほぼ完璧に記述することに成功して以降はその関心が薄れている。現在までに、クォークやレプトンが複合物であるという実験的証拠は未だ見つかっていない。
== 背景 ==
標準模型 (Standard Model : SM) は1970年代に発展してきた。物理学者は粒子加速器実験によって何百もの異なる種類の粒子を観測してきた。これらの粒子は、その物理的性質に基づいて適切な階層構造の中に組織された。この状況は動物をそれらの特徴に基づきグループ分けする分類学になぞらえて""と呼ばれた。
現在の素粒子物理では支配的なモデルであるこの標準模型は、観測された粒子のほとんどは複合粒子であることを示すことによって粒子の分類を劇的に単純化した。つまり、このとき観測された粒子は、2つのクォーク(反クォークも含む)の組み合わせであるメソン、3つのクォークの組み合わせであるバリオン、および一握りのその他の粒子であった。これまで加速器によって観測された粒子は、例外なく、この理論に従ってクォークもしくは反クォークの組み合わせによってできていた。
標準模型内では、様々な異なる種類の粒子が存在する。その主要な構成要素は、クォークおよびレプトンである。クォークモデルは、マレー・ゲルマンおよびジョージ・ツワイクによって1964年に提唱された。クォークは6つの異なる種類を持ち、それらはそれぞれ3つのバラエティがある。つまり、量子色力学において"色荷"と呼ばれる、赤、緑、青の3種類である。加えて、レプトンとして知られる粒子も6つの異なる種類を持つ。このうち3つは荷電粒子である電子ミューオンそしてタウオンであり、残りの3つはニュートリノである。3つのニュートリノは残り3つの荷電粒子のレプトンの一つとそれぞれ対応する性質を持つ。フェルミオンであるクォークとレプトンに加えて、標準模型はボソンも含んでいる。ボソンは、光子W+・WとZボソングルーオン、そして、重力子ヒッグス粒子などまだ発見されていない粒子への2、3の空欄を含むグループである。これらの粒子のほとんどすべては"左手"および"右手"バージョンという''カイラリティ''を持つ。クォーク、レプトンおよびWボソンはすべて反対の電荷を備えた反粒子を持つ。
標準模型には、まだ完全に解決されていない問題がいくつか存在する。特に、重力子の理論を組み込むことには成功していない。重力子の存在を仮定したモデルで矛盾のない理論を構築する試みは失敗に終わっている。加えて、質量問題は標準模型で謎のままである。一連の粒子の質量はそれぞれあるパターンに従っているが、ほとんどの粒子の不変質量は正確に予測できていない。ヒッグス粒子によって、粒子がその慣性質量を示す理由を説明することができる(不変質量については説明しない)が、 現在のところヒッグス機構は実験によって証明されていない。
標準模型は、宇宙の大規模構造に関する予測においても問題を持っている。例えば、標準模型は一般的に宇宙における物質と反物質は等量であると予測するが、これは観測結果と明らかに反している。さまざまな機構を想定してこの予測を修正する試みが多くなされてきたが、どれも現在広く支持されているものはない。同様に、標準模型は陽子崩壊の存在を示唆しているが、この現象も依然として観測されていない。
このように、標準模型は数多くの任意定数を含んでいおり、また現象と一致しない問題点もいくつか存在している。プレオン理論は、より根本的な粒子およびその法則を発見することで、標準模型が含む任意定数を減らすこと、および現象との矛盾を解決することを目標としている。
プレオン理論は、周期表、そして、より最近の"粒子の動物園"を飼いならした標準模型が多くの現象を説明するのに成功してきたように、より根本的な粒子の周期表を発見することでこの達成を再現するという願望によって動機付けられている。
プレオン理論は、理論および実験素粒子物理学において得られた結果に対して"より根本的な説明"を与える試みとして提案されてきたいくつかのモデルの中の一つである。プレオンモデルは今日の素粒子物理コミュニティの間で比較的少数の関心を引きつけている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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