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ヘッセン急使[へっせんきゅうし]
『ヘッセン急使』(ヘッセンきゅうし、''Der Hessische Landbote'')は、ゲオルク・ビューヒナーとフリードリヒ・ルートヴィヒ・ヴァイディヒによって1834年に執筆、頒布された、8ページの政治的パンフレット。彼らはこの文書で、貧困にあえいでいた農民や手工業者に蜂起を促し、当時のヘッセン大公国の旧体制を覆そうとしたが、この試みは失敗に終わった。ヴィルヘルム・ヴァイトリングの『人類の現状と理想』と並び19世紀ドイツにおける革命思想の出発点に位置する著作であり〔森田、127頁〕、またマルクス=エンゲルスの『共産党宣言』に次いで翻訳されることの多い政治的パンフレットとも評されている〔Jan-Christoph Hauschild: ''Georg Büchner - Biographie''. Metzler, Stuttgart/Weimar 1993. S.416.(谷口廣司 『理念と現実のはざまで G.ビューヒナーの文学』 91頁より)〕。 == 内容 == 1ページ目には表題と日付(1834年7月、ダルムシュタット)に続いて、前書き(Vorbericht)として、これが危険文書であり取り扱いに十分配慮するようにという読者への注意が書かれている。それから「あばら家に平和を! 宮殿に戦争を!」というフランス革命の標語が掲げられ本文へと続く。 本文ではまず旧約聖書の創世記を引きながら、農民の生活と王侯貴族の生活とを対比する。そして統計資料に基づいて、ヘッセン大公国の国民71万人が毎年収めている税金636万グルデンの内容(直接税、間接税、御料地収入、罰金など)を箇条書きにした後、その税の用途(各省の支出、軍事費、恩給費など)ごとに、それが無駄遣いであり役人の私腹を肥やすことにしかなっていないこと、そして税金を納めている当の人民には何の利益ももたらす結果になっていないことを説く。それからフランス革命以降の歴史に触れ、7月革命によって王を追放したフランスがまたも世襲的な王制を敷いてしまったこと、その際にドイツの人民にも押し付けられた憲法がいかに不合理な内容のものであるかを訴える。最後に抑圧者に対する武装蜂起を説き、神にアーメンを唱えよという言葉で締めくくっている。なお、この文の後半(ヴァイディヒの作とされる)では、領邦君主たちが理想的な皇帝を没落させ、ドイツを破滅の淵に追いやったと主張している。 なお、ヴァイディヒにより改訂・配布された第2版では、前書きが削除された。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ヘッセン急使」の詳細全文を読む
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