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ヘルヴォルとヘイズレク王のサガ : ウィキペディア日本語版
ヘルヴォルとヘイズレク王のサガ[へるう゛ぉるとへいずれくおうのさが]
ヘルヴォルとヘイズレク王のサガ (ON. Hervarar saga ok Heiðreks) とは、13世紀に成立した伝説のサガ物語)である。他の何本かの古いサガから要素を取り出し、まとめたものではないかと考えられている。
このサガは、その文学的品質に加え、いくつかの理由によって価値の有るサガとみなされている。このサガには4世紀に起こったゴート族フン族との間の戦争に関する伝承が含まれており、またサガの後半はスウェーデン中世史の資料として用いられている。
また、J・R・R・トールキン中つ国の設定を構想する上で、このサガにインスピレーションを受けたといわれている。
== あらすじ ==

このサガはティルヴィングという剣にまつわる物語である。この剣は、スヴァフルフラーメ王 (Svafrlami) の命によってドヴェルグドヴァリン (Dvalinn) とドゥリン (Durin) によって鍛えられたが、同時に呪いもかけられた。スヴァフルフラーメ王はティルヴィングを用いて数々の戦いに勝利するが、ボルムセ島 (Bolmsö) におけるベルセルクアルングリームル (Arngrímr) との戦いで命を落とす。ティルヴィングはアルングリームルの手に渡り、後に彼の息子アンガンチュール (Angantyr) のものとなる。アンガンチュールはサムセー島におけるスウェーデンの英雄ヒャールマル (Hjalmar) との戦いで命を落とすが、同時にヒャールマルも致命傷を負う。ティルヴィングは同伴していたヒャールマルの友人オルヴァル・オッドルOrvar-Oddr、「弓の名手オッドル」の意)の手によって、アンガンチュールと共に埋葬された。
ティルヴィングをその墓 (barrow) から掘り出したのは、アンガンチュールの娘ヘルヴォル (Hervor) であった。彼女は盾持つ乙女 (shieldmaiden) であり、家出したのちサムセー島の父の墓に向かい、亡き父を喚び出しティルヴィングを求めた。その後ヘルヴォルは家に戻り、グレシスベリル (Glæsisvellir) 王ホーフンド (Höfund) と結婚する。
そしてこのサガは彼女の息子ヘイズレクル (Heiðrekr) の物語へと続く。彼は国を追放され、ティルヴィングで兄のアンガンチュール (Angantyr Höfundsson) を殺してしまうが、ホーフンドの助言を受けながら、のちにレイドゴートランド (Reidgotaland) の王となる。あるときゲストゥムブリンディ (Gestumblindi) と名乗る男がヘイズレクル王の前に現れて問答をする。この男の正体はオーディンであり、ヘイズレクル王に死期が近いことを伝えて姿を消す。その後ヘイズレクル王は、カルパティア山脈で野営中に捕虜に殺される。ヘイズレクル王の息子であるアンガンチュール (Angantyr Heidreksson) は下手人たちを探し出して復讐を果たし、奪われていたティルヴィングを取り戻す。
ヘイズレクル王の息子たちであるアンガンチュールフロズル (Hlǫðr) との間に、父の遺産を巡って争いが起きる。兄のアンガンチュールはゴート族の王となり、弟のフロズルはフン族の王フムリ (Humli) の支援を受け兄を攻める。その戦いの中で妹のヘルヴォル (Hervor) は命を落とす。しかしフロズルは敗れて、兄が手にしたティルヴィングで殺される。
その後、アンガンチュールの息子ヘイズレクル・ウールヴハム (Heiðrekr Ulfhamr) はレイドゴートランド (Reidgotaland) の王となり、長きに渡ってその国を支配した。ヘイズレクル・ウールヴハムの娘ヒルドル (Hildr) は息子ハールヴダン (Halfdan the Valiant) をもうけ、ハールヴダンは息子イヴァル (Ivar Vidfamne) をもうける。イヴァル以下は、スウェーデンの伝説的な王 (Swedish semi-legendary kings) がフィリップ・ハルステインスソン (Philip Halstensson) まで連ねられている。しかしこの部分はおそらくサガの残りの部分を別々に寄せ集めたものであり、後世の校訂によって統合されたものではないかと考えられている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「ヘルヴォルとヘイズレク王のサガ」の詳細全文を読む



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