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ヘンリー・リー・ルーカス : ウィキペディア日本語版
ヘンリー・リー・ルーカス

ヘンリー・リー・ルーカス(''Henry Lee Lucas'', 1936年8月23日 - 2001年3月13日)は、アメリカ合衆国連続殺人犯。全米17州で300人以上を殺害していると言われる。著名なシリアルキラーの1人であり、トマス・ハリスの作品に登場する連続殺人者、ハンニバル・レクターのモデルの1人。
==母からの虐待==
ヘンリー・リー・ルーカスは1936年8月23日、アメリカバージニア州ブラックスバーグに生まれた。母親のヴィオラはアイルランドインディアンの女で、売春婦をしていた。父親のアンダーソンは、酒に酔って列車に轢かれ、両足を失った貧弱な元鉄道員であった。ヘンリーは11番目の子供であり、ヴィオラは女児が生まれてくることを期待していた(娘が生まれれば、母娘で売春が出来ると考えていたため)。だがヘンリーが男児であったことに失望する。ヴィオラは息子を「ヘンリエッタ」と名付けて女装をさせたり、意味も無く殴りつけたり、自身の客を家に呼んでヘンリーの前で性交し、それを見るように強要するなど、執拗に虐待を繰り返していた。
ヴィオラはしばしば「お前は死ぬまで私の奴隷」「あんたは悪魔から生まれた生き物なのだから、当然あんたは悪魔なのだ。腐ったろくでなしとして生きてもらう」「あんたはこの世に地獄をもたらすために生まれてきた」と、ヘンリーを罵倒した。ヴィオラ以外の人物にヘンリーが優しく接せられると、ヴィオラは激しく怒り、ヘンリーに優しくした本人を口汚く罵った。小学校の高学年になったとき、ヘンリーはラバを飼いたがっていた。ヴィオラが珍しくラバの子供を買ってきてヘンリーに与えたことがあった。ヘンリーは喜び、寝食も共にするほど気に入り、ラバもヘンリーに懐いた。ヴィオラがヘンリーに、ラバが気に入ったかどうかを尋ね、ヘンリーが気に入った旨を告げると、そのラバを射殺した。ヘンリー自身、「おふくろは、俺が何かを愛するという感情を抱くことに我慢ならなかった」「おふくろは完全な狂人だった」と告白しており、ヴィオラが人格的に異常であったことは明らかであった。
ヘンリーは10歳で酒の味を覚えたが、それは父親の影響であった。父親もまたヴィオラから罵倒されたり虐待されていた。父親はヴィオラに虐待されるのが好きであった。ヘンリーは後に、「本当の親父だったかどうかも分からない」「汚らわしいマゾだった」などと語っている。14歳ではじめての殺人(17歳の少女をレイプして絞殺)を犯した。最初の殺人は、ヘンリーにとって最悪のものであった。母による激しい虐待と、女性に対する彼の意識が彼を大きく歪ませ、女性とセックスに対して激しい憎悪を抱くようになった。23歳まで出所と服役を繰り返すが、同年に義姉の元で恋に落ちた。ヘンリーは彼女と生きていくことを決め、まともに働こうとした。だが、母親がヘンリーの元に現れ、口汚く罵ったことで恋人は彼の元を立ち去り、ヘンリーは再び独りになった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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