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ベガーズ・オペラ : ウィキペディア日本語版
ベガーズ・オペラ

ベガーズ・オペラ』または『乞食オペラ』(''The Beggar's Opera'')は、1728年にジョン・ゲイが書いた3幕のバラッド・オペラである。オーガスタン演劇(Augustan dramaオーガスタン時代も参照)の中で重大転機となった戯曲の1つで、かつて隆盛を極めた風刺的なバラッド・オペラのうち現在まで人気の続く唯一の作品である。
最初の上演は、当時最長と言われた62夜も続いた〔Longest Running Plays in London and New York at dgillan.screaming.net〕。この作品によりゲイは大変な成功を収め、続編『ポリー』も書いている。劇は以降も上演され続けた。1920年にはロンドンハマースミスHammersmith)のLyric Hammersmithで1463回という驚異的な上演記録を残した。当時の音楽劇で最長の上演回数だった〔LONG RUNS IN THEATRE at world-theatres.com〕。1928年には、ベルトルト・ブレヒト(音楽クルト・ヴァイル)がこの作品をモチーフに『三文オペラ』を書いた。
==成り立ち==
このオペラのアイディアはジョナサン・スウィフトだと言われている。スウィフトは1716年8月30日にアレキサンダー・ポープに次のような書簡を送っている。「盗人たちや売春婦たちがいるニューゲート(にある監獄のこと。ニューゲート監獄参照)のパストラルなんてどうだろうか?」。二人の友人であったゲイはパストラル・オペラより風刺劇がいいと決めた。1728年のオリジナルは、ゲイは全曲伴奏なしで歌わせるつもりで、頭の中でショッキングでザラザラした雰囲気を思っていた〔Operetta: A Theatrical History 著者: Richard Traubner (Googleブック検索)〕。しかし、開幕まで1週間くらいの時に劇場監督のジョン・リッチ(John Rich)は、劇場と関係のあった作曲家ヨハン・クリストフ・ペープシュに(3幕のルーシーの『I'm Like A Skiff on the Ocean Toss'd』によるフーガを含む、オペラの中の歌の2つに基づいた)ちゃんとしたフランス風序曲を書かせ、さらに69曲を編曲させると主張した。作曲者が誰かという証拠は、Dover Booksが出版した1729年のオリジナル・スコアにペープシュが編曲者と書かれてあるだけで、他にはまったくない〔PEPUSCH, Johann Christoph (1667–1752) at baroqueartists.org〕。
この作品は、上流階級のイタリア風オペラへの関心を風刺する狙いがあり、著名なホイッグ党の政治指導者ロバート・ウォルポールと大多数の政治家、それに有名な犯罪人ジョナサン・ワイルドジャック・シェパードをまとめて風刺している。
ゲイは、浮かれ騒ぐ辛辣で不遜なテキストに曲をあてるのに、69曲の有名なフィドルの曲、バラッドエアオペラの旋律を使った。高名な作曲家ペープシュは1728年1月29日のLincoln's Inn Fieldsでの初日までの短い期間に、序曲を作曲し、全曲編曲した。しかしペープシュのスコアで残っているものは楽器編成の序曲とUnfigured bass付きの歌の旋律だけである。さまざまな復元が試みられ、アメリカ合衆国の作曲家Jonathan Dobinによる1990年の復元では多くの現代作品が使われた〔The work's greatest delight is its music ...reconstructed in a convincing period style by Jonathan Dobin ニューヨーク・タイムズ)〕。
ゲイはオペラの基準である3幕とし(当時の歌のない劇は5幕が標準だった)、45場という早い展開と69曲の短い歌に驚きがあるように、台詞と筋をきびきびしたものにした。
この作品は、ロンドンで大人気を博し、これまでイギリスで隆盛を極めていたイタリアオペラの衰退と、それに伴うゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルオラトリオへの創作活動の転換の原因となった。
『ベガーズ・オペラ』は以後のイギリスのすべての喜劇、とりわけ19世紀のイギリスのコミック・オペラ(Comic opera)、現代のミュージカルに強い影響を与えた。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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