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同一労働同一賃金(どういつろうどうどういつちんぎん、英:equal pay for equal work)とは、同一の仕事(職種)に従事する労働者は皆、同一水準の賃金が支払われるべきだという概念。性別、雇用形態(フルタイム、パートタイム、派遣社員など)、人種、宗教、国籍などに関係なく、労働の種類と量に基づいて賃金を支払う賃金政策のこと。 さらに、同一価値労働同一賃金(どういつかちろうどうどういつちんぎん)とは、職種が異なる場合であっても労働の質が同等であれば、同一の賃金水準を適用する賃金政策のこと。 国際労働機関(ILO)では、同原則をILO憲章の前文に挙げており、基本的人権の一つとされている。また世界人権宣言の第23条において「すべての人は、いかなる差別をも受けることなく、同等の勤労に対し、同等の報酬を受ける権利を有する」〔世界人権宣言(1948 年) 〕と規定されている。さらに国際人権法でも、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の第7条と人及び人民の権利に関するアフリカ憲章の第15条において、勤労権に関して『同一労働同一賃金』を明記している。 経済学的には一物一価の法則(自由市場では需要と供給の関係から、標準的な相場が形成される)を、労働市場に当てはめたものである。 なお、同一労働同一賃金の語は、北欧諸国の連帯的賃金政策の意味で用いられる場合もある。本稿では、これも併せて解説する。 == 国際的な動向 == 同一労働同一賃金の理念は、主として国際労働機関(ILO)を中心に展開してきた。 まず、ヴェルサイユ条約(1919年)において、「同一価値の労働に対しては男女同額の報酬を受くべき原則」(第13編第2款第427条)が提起された。 次に、国際労働機関憲章 (ILO憲章、1946年にヴェルサイユ条約第13編を継承)において、「同一価値の労働に対する同一報酬の原則の承認」(前文)を挙げ、同一価値労働同一賃金を最も重要な原則の1つとして位置づけている。これに関連して、フィラデルフィア宣言 (1944年)でも、「雇用及び職業における差別の排除」を基本的権利に関する原則として挙げ、ILO加盟国すべてが「尊重し、促進し、かつ実現する義務を負う」としている。 また、ILO総会は、1951年に同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約 (ILO第100号条約)を採択し、同一価値労働について、男女間での賃金格差を禁止した。 さらに、ILO総会は、1958年に雇用及び職業についての差別待遇に関する条約 (ILO第111号条約)を採択した。これはILOの基本条約の1つであり、人権保障条約としての性質を持つ。労働者の待遇に関してあらゆる種類の差別を禁止している。たとえば、同等な労働を行っているにも関わらず雇用の形態が異なるだけで賃金や待遇に大きな違いがある場合、この条約に抵触する可能性がある。 なお、国際連合第34回総会で採択された女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約、1979年)でも、「同一価値の労働についての同一報酬(手当を含む。)及び同一待遇についての権利並びに労働の質の評価に関する取扱いの平等についての権利」(第3編第11条d項)の確保に必要な措置を講じることを締約国に求めている。この条約により、同一職種に対する「同一労働同一賃金」を超えて、異なる職種に対する「同一価値労働同一賃金」を目指すべきことが(少なくとも男女間については)明確にされた〔中島・山田・中下、1994年、38頁。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「同一労働同一賃金」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Equal pay for equal work 」があります。 スポンサード リンク
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