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ボヴァリー夫人[ぼヴぁりーふじん]
『ボヴァリー夫人』(ボヴァリーふじん、仏:Madame Bovary)は、ギュスターヴ・フローベールの小説。田舎の平凡な結婚生活に倦んだ若い女主人公エマ・ボヴァリーが、不倫と借金の末に追い詰められ自殺するまでを描いた作品で、作者の代表作である。1856年10月から12月にかけて文芸誌『パリ評論』に掲載、1857年に風紀紊乱の罪で起訴されるも無罪判決を勝ち取り、同年レヴィ書房より出版されるやベストセラーとなった。 フローベールはこの作品に4年半の歳月をかけ、その執筆期間に徹底した文体の彫琢と推敲を行なっている。ロマン主義的な憧れが凡庸な現実の前に敗れ去れる様を、精緻な客観描写、自由間接話法を多用した細かな心理描写、多視点的な構成によって描き出したこの作品は写実主義文学の礎となった。サマセット・モームは『世界の十大小説』の一つに挙げている。 == あらすじ ==
=== 第一部 === ある日、ルーアンの年少学校に内気そうな田舎の少年が転入してくる。シャルル・ボヴァリーという名の彼は、退職した軍医補の息子であった。まじめな勉強ぶりで中程度の成績を保って落第せず、そのうち親の希望で医学校に進み、トストの開業医となった。仕事に就いたシャルルは両親の勧めるまま、持参金のたっぷりある45歳の未亡人エロイーズと結婚する。しかし結婚後、やきもち焼きのこの女性は自分の資産について嘘をついていたことが判明、舅と姑に糾弾され、まもなく心労がもとで喀血し急逝してしまう。独身者となったシャルルはしばらく気落ちしていたものの、以前骨折を治療した親切な農夫のもとに親しく通うようになり、その一人娘エマに惹かれて彼女に求婚する。承諾が得られると客を大勢招いた田舎風の結婚式を執り行って、それから新たな結婚生活が始まった。 エマは修道院出の夢見がちな女性で、小説や物語を読みロマンティックな空想に浸るのが好きだった。実家の田舎暮らしに飽き飽きして結婚したエマだったが、やがてこの結婚生活にも、自分が考えていたような恋の情熱も湧き立つような幸福も見出せないことに幻滅し始める。その思いは、ある日夫妻で侯爵家に招かれたことでいっそう強くなっていく。侯爵たちの豪華な生活と比べ、自分の平凡な家庭、とりえのない凡庸な夫が心底嫌になり、都会の社交生活に加われない自分を不幸な人間だと考えるようになる。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ボヴァリー夫人」の詳細全文を読む
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