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ポセイドン・アドベンチャー : ウィキペディア日本語版
ポセイドン・アドベンチャー

ポセイドン・アドベンチャー』(''The Poseidon Adventure'')は、1969年に発表されたポール・ギャリコの小説。そして1972年にこれを原作として映画化され、以降4回映像化されている作品である。 製作は アーウィン・アレンでこの映画製作の後に同じパニック映画の「タワーリングインフェルノ」を製作する。監督はロナルド・ニーム。音楽はジョン・ウィリアムズである。
豪華客船が航海の途中、大晦日の夜を祝うため多くの客が乗り合わせていた時に巨大な津波が押し寄せ船は転覆。パニック状態に陥った乗客たちの中で、たまたま乗り合わせていた牧師が生き残った乗客たちを脱出へと導いていくその苦難と悲劇の物語である。
== ストーリー ==
81,000トンの豪華客船「ポセイドン号」は1,400名の乗客を乗せて12月にニューヨークを出港してギリシャを目指して航海に出た。だがこの豪華客船のハリソン船長(レスリー・ニールセン)は、この船の重心が高く、バラスト(底荷)をしていないので、大波に襲われて転覆することを恐れていた。ゆえにスピードを余り上げずに船を進めていた。しかし船主の代表のライナーコスはそれを認めず、予定を3日も遅れていることで船長を叱責してスピードを上げて早く目的地に着くことをたびたび要求した。到着日が遅れることは会社にとって経済的負担が大きくなるからであった。
船が地中海に入ってからやがて大晦日を迎えて、その夜に船内ホールで船客のパーティーが開かれた。ところがクレタ島の南西130マイルの沖合で海底地震が起こり、その影響で大津波がやがて巨大な32mの高さで「ポセイドン号」を襲い、船体に問題があったためあっと言う間に転覆した。ホールでカウントダウンのニューイヤーイヴで楽しい語らいをしていた船客らは緊急警報が船全体に鳴り響いたと同時に、船体が傾き始め、それまでの上部が足元に、足下が頭の上部にひっくり返って、横に身体が振られて、投げ出されて修羅場と化し、落下し壁に叩き落される者、落ちてきたテーブルや物品棚の下敷きになる者など阿鼻叫喚の場となった。転覆して180度横転した大食堂のホールには、この時点ではまだ相当数が生存していた。その時に客船の事務長が生き残った皆がこの場に留まることが最善で、救援隊が来るまでここで待機しようと訴えた。しかし1人の牧師が異を唱えた。フランク・スコット牧師(ジーン・ハックマン)で、留まっていれば海面下に置かれているこのホールはやがて浸水して皆死ぬので、ひとまず上に上がって「船底」(この場合は船底でなく、船の最上部である)の竜骨付近に行ってそこで救援隊を待つことの方がよいという意見であった。
牧師は電気がまた点いている今のうちに、早く上に行かねばならないと訴えたが事務長は頑として聞かず、ホールに居た船客も意見が分かれて、急ぐ牧師の声に導かれて、上に登る決意をしたのは僅か8名であった。スコット牧師たち9名は、もともと食堂に備え付けられていた大きなクリスマスツリーが逆さまで残り、そのツリーをよじ登っていった。残りのメンバーに呼びかけたが反応が薄く、そうこうするとキッチンボイラーが大爆発して水や油が上の方から鉄砲水のように噴出して、驚いた残りのメンバーが先を争うようにツリーにしがみついて登ろうとして余りにも多数の人間が一度にしがみついたので、ツリーが重みに耐えかねて崩れ落ちていった。泣き叫ぶ人々の声を聴きながらもスコット牧師にはどうすることも出来なかった。
牧師に付いてきたのは、ニューヨークの刑事マイク・ロゴ(アーネスト・ボーグナイン)と リンダ・ロゴ(ステラ・スティーヴンス)の夫婦、気ままな旅をしていたマニー・ローゼン(ジャック・アルバートソン)とベル・ローゼン(シェリー・ウィンタース)の中年夫婦、雑貨商ジェームズ・マーティン(レッド・バトンズ)、ホールで演奏していた楽団メンバーを全て失った歌手ノニー・パリー(キャロル・リンレー)、欧州へ遊びに行く予定だったスーザン・シェルビー(パメラ・スー・マーティン)とロビン・シェルビー(エリック・シーア)の姉弟の8人と、もともと上にいたボーイのエイカーズ(ロディ・マクドウォール)で、スコット牧師と合わせて10人でエンジンルームを目指した。
その道筋は垂直エアシャフトをよじ登り、更にギャレーからエンジンルームへ行く階段に辿り着くことであった。エアシャフトを上っている途中エイカーズが水中に転落してしまう、上った先のギャレーで艦首に向かうほかの生存者とすれ違う。(ラストの会話では船首からの生存者はいなかったと語られる)。エンジンルームへ行く途中でどうしても10mを水の中を潜って行かなければならなかった。牧師が最初に潜ったがロープが身体に絡みつき身動きが出来なくなった。それを助けたのは中年夫婦の妻ベルであった。水泳が得意であった彼女は水中にダイブして潜り牧師のところに泳ぎ着き、牧師を救ってエンジンルームに泳ぎ着いたがそこで心臓発作を起こし息を引き取った。スコットは「神よ、なぜこの女性の命を召されたのか」と呻くのであった。ようやく全員がエンジンルームに辿り着いた時に、スコットは「ローゼン夫人は皆を助けるために犠牲となられた。残された我らは勇気を出して生き抜くことが夫人の遺志に報いる道である」と説くのであった。
エンジンルームを過ぎるとプロペラシャフトを抜けて「船底」に達することが出来るのだがこれが難関であった。そしてここで刑事夫妻の妻リンダが爆発で船体が傾いた時に振り落とされて水に沈んでしまった。嘆き悲しむ夫マイクは牧師を口汚く罵り、男泣きに泣いた。そして次にプロペラシャフトに入る非常ハッチのすぐ傍を通っているスチームパイプが破損してそこから熱い蒸気が噴き出していた。ここまで冷静を保ってきた剛毅な牧師も神を呪うのであった。「神よ、これほど犠牲を払ってもまだ満足なさらないのですか。それならば私の命を御取り下さい。」と叫んでスチームパイプのバルブに飛び移り、バルブの口を自らの身体の重さで閉めながら他の皆がプロペラシャフトに乗り移るように命じた。皆がプロペラシャフトに乗り移った後に、スコット牧師はスチームの洗礼から手を離して落下していった。
やがてプロペラシャフトを抜けて「船底」に達した6人は船底を無我夢中で叩きだして、やがて突然に応答が聞こえてきた。救援隊が本当にやって来たのだった。救援隊の船底をこじ開ける作業の音を聞きながら、生き残った6人は様々な思いを胸に後ろを振り返るのであった。〔1973年春の初公開時のパンフレットから参照〕

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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