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ポン教 : ウィキペディア日本語版
ボン教[ -きょう]

ボン教( -きょう)はチベットの民族宗教である。ポン教(ぽんきょう)とも表記・呼称される。
==概説==
一般のチベット人にとってボン()とは、漠然とチベットの仏教伝来以前の土着の宗教を指す場合と、「ユンドゥン・ボン」(永遠のボン)を自称する宗教・宗派を指す場合とがある〔三宅 2004, p. 230〕。文献資料は仏教伝来以後のものしか存在していないが、敦煌文献から8-10世紀のチベットの古代宗教についてある程度研究されている〔エリアーデ & 鶴岡 2000, p. 124.〕。それによると初期の文献においてボンとは組織的な宗教の呼称ではなく一種の祭司のことを指しており、古代チベット王国(吐蕃)ではボンとシェンという祭司が祭祀を執り行っていた〔Van Schaik 2011, p. 24.〕。宗教はチュー(法、慣習)で、ラチュー(神の法)とミチュー(人の法)とが区別されていた。ラチューは時にはボン教、時には仏教のことを指し、後者のミチューが仏教伝来やボン教成立に先行する土着宗教であった〔エリアーデ & 鶴岡 2000, p. 125.〕。後世の人々はこの古代宗教をボンと呼んだが、仏教布教前のチベット人が古来の祭祀や神話をボンと呼んでいたとは考えにくく、成立宗教としてのボン教はチベットで仏教が復興する11世紀頃に姿を現し、組織されていったと考えられている〔Van Schaik 2011, p. 99.〕。11世紀以降に出現した初期のボン教文献は、主としてテルトン(埋蔵教発掘者)によってもたらされたもので、それぞれテルマ(過去に埋蔵されたものをテルトンが再発見したとされる文献)やニェンギュー(口頭伝承を筆記したとされる文献)に分類される。
ボン教徒は、ボン教の中に取り込まれた古いアニミズム宗教である「原始的なボン」、ボン教徒がブッダと崇めるトンパ・シェンラプ・ミウォが創始した宗教伝統である「ユンドゥン・ボン」、儀礼面で仏教の影響を受けた「新しいボン」とを区別する〔森孝彦 2007, pp. 236-237.〕。ユンドゥン・ポンも用語の面などで仏教の影響を受けているが、ボン教徒は仏教とは異なる独自の思想であることを自負している。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Bon 」があります。



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