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マッドサイエンティスト()とは、フィクション作品に登場する、常軌を逸した科学者である。 日本語では「狂科学者」あるいは「狂った科学者」と訳される。類義語にマッドエンジニア()があるが、両者の区別は明確ではない。 == 概説 == SF作品や漫画・アニメ・ゲーム等フィクション作品において「博士」や「ドクター」の称号を持ち、科学知識や技術などを駆使する、常軌を逸した科学者として登場する。超絶的な頭脳を持つが、往々にして理解しがたい価値観や世界征服などとんでもない願望を持ち、周囲の迷惑は何も考えていない。 この様な人物が珍発明やロボット、人造人間などを開発して大混乱を引き起こす描写をされることが多い。悪役であることが多いが、コメディやギャグではしばしば主人公の仲間や、主人公自身の創造者として描かれることもある。 マッドサイエンティストの行動はしばしば以下のように表現される。 * 人倫から外れた領域の知識を探求する。 * 自らの研究がもたらす社会および自己への影響、あるいは研究の倫理的側面を考慮しない。 * あまり倫理的ではない野心のために、その知識を積極的に利用する。 これらの特徴は、より穏健な形では「確かに天才で、科学に対してモノマニア的にひたすら情熱を注ぐ優秀な学者・技術者であるが、一方で一般社会の慣習や礼儀に疎いか無関心なために、自分の研究が起こす周囲への迷惑が見えていない、あるいは理解できていない」という形で描写される。たとえば、原水爆や猛毒の細菌の開発、遺伝子を操作して全く新しい生物を作出することなどに執念を燃やすこと等が該当する。 この場合は、言動が奇矯ではあるが有用か、もしくは人騒がせではあるが基本的には無害な人物として描かれる。正義の味方が登場する勧善懲悪の物語であっても、この穏健なパターンのマッドサイエンティストは味方側として登場する事が珍しくない。この場合は「一見すると傍迷惑な奇人変人であるが、主人公にとって必要となる新アイテムを開発・供給する」という、重要なポジションの人物となる。 マッドサイエンティストは、近代までは神の摂理や宗教下においてのみ管理され、行使されてきた科学的技術が、その範疇から独立し無関係に急速に発達していく中、見慣れない新しい人工物を社会にもたらし、社会と伝統的価値観を変容させていくことに対して大衆が持つ無意識的な恐怖を、人間の姿を借りて具現化したものと言える。 他方、なんらかのトラウマによって社会に悪意を憶え、それに対する復讐にも近い手段を求めてとんでもない研究をする、というような、言わば積極的にマッドな科学者と言う設定もある。 現実世界で何を持ってマッドサイエンティストと定義するかは難しい問題であり、特に古い時代では現代の倫理基準において異常であっても当時としては普通だったことも多い。ジョン・ハンターのように「近代外科学の開祖」と呼ばれながら死体コレクターとしてマッド扱いされたりしたが、当時の医師の倫理観からすれば死体コレクションは研究分野として正当な物でありマッドの評価は必ずしも正しくない。 ベンジャミン・ラッシュのように「精神病の患者を板の上に縛りつけて回転させることで頭に血液を集て治療する」「アメリカ合衆国憲法で医師免許を禁止しようとした」「黒人が黒いのは遺伝病である」など現代の基準で見れば狂気の医者のように見えるが、当時としては正当な医学として高い評価を受けていた場合もある。処刑道具であるギロチンを発明したアントワーヌ・ルイ医師は、マッドなのかと問われた場合の評価は難しい。 近代ではチェコのイトカ・シュレベロヴァ医師が麻酔薬の兵器転用という研究を行っており、地元の子供を人体実験に使ったことを学会発表して非難を浴びた。「自分の研究が起こす周囲への迷惑が見えていない、あるいは理解できていない」と言う意味では、マッドサイエンティストの典型例に当たる。 ドクタークラレのように、血まみれの白衣に仮面を被って巨大メスをもつなど、故意にマッドサイエンティストのように振る舞う人物もいる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「マッドサイエンティスト」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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