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マネーサプライ(money supply、通貨供給量)またはマネーストック(money stock、通貨残高)とは、金融機関と中央政府を除いた経済主体(一般法人、個人、地方公共団体等)が保有する通貨の合計として定義される。 金融商品のうちで通貨としての機能を持つものの範囲、金融機関と見なす通貨発行主体の範囲については単純に決められず、幾つかの指標が作られている。 日本では現金通貨(紙幣を含む広義の貨幣)、普通預金、当座預金、定期預金、外貨預金、譲渡性預金(CD:Certificate of Deposit)の総合計の通貨量であるM2+CDが代表的な指標であったが、2007年6月22日、郵政民営化に伴い日本銀行はマネーサプライ統計を約30年ぶりに全面的に見直す方針を発表し、2008年5月からは新たな「M3」を代表的指標として名称も「マネーストック統計」として公表している。イギリスではマネーサプライはM0(現金通貨+市中銀行のイングランド銀行(イギリスの中央銀行)預け金)とM4(現金通貨+預金+住宅貸付組合出資金)に分かれる。 マネタリーベース(中央銀行・政府が発行した現金+金融機関から中央銀行が預かっている預金)を信用創造によって金融機関が市中に供給することで増えるとされている。貨幣の供給量は、民間・銀行・中央銀行の決定に関わる部分によってその大小が決まる〔田中秀臣 『ベン・バーナンキ 世界経済の新皇帝』 講談社〈講談社BIZ〉、2006年、65頁。〕。 ==金融政策との関係== マネーサプライは物価と深い関係があり、通常は他の条件が変わらなければ、マネーサプライの伸びが高く(低く)なると、物価の伸びも高まる(低くなる)傾向にあると考えられている〔みずほ総合研究所編 『3時間でわかる日本経済-ポイント解説』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2002年、26頁。〕。このため、欧米の中央銀行では金融政策の中間目標として、マネーサプライの動向が注視されている〔。 エコノミストの坂東俊輔は「マーシャルのk〔マネーサプライを名目GDPで割ったものをマーシャルのkという(小塩隆士 『高校生のための経済学入門』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2002年、159頁)。〕の上昇、経済の開放度合いの高まり、変動相場制への移行などを通じて、ASEAN諸国において公開市場操作によるマネーサプライ管理の重要性が高まっている。先進国においては近年(1998年)、政策目標・政策手段との間に中間目標を設定し、政策を運営する方法が一般化している。そうした目標の一つに、マネーサプライが入っている。マネーサプライは数量変数であるため、金利のような価格変数よりも貸出量・設備投資などとより密接な関係があるからというのが通説である。ただし、マネーサプライ管理は一つの重要な指標ではあるが、マネーサプライの安定的な管理=経済の安定というわけではない」と指摘している〔アセアン諸国におけるマネーサプライ管理 日本総研 1998年7月1日〕。 経済学者の原田泰、大和総研は「貨幣供給量を1%増加させると、実質GDPは0.18%増大する」と指摘している〔原田泰・大和総研 『新社会人に効く日本経済入門』 毎日新聞社〈毎日ビジネスブックス〉、2009年、26頁。〕。 日本銀行はマネーサプライを金融政策の目標や金融調節の操作対象としていないが、マクロの金融情勢を表す代表的な指標の1つとして金融政策の判断材料に利用している。 欧米主要中央銀行は、1970年代にはマネーサプライを金融政策運営上の中間目標に位置付けていたが、1980年代から1990年代にかけて、マネーサプライを中間目標に位置付ける政策運営を止めるようになった〔金融政策運営に果たすマネーサプライの役割 日本銀行 Bank of Japan 2002年12月24日〕。通貨の管理政策はアメリカなどが早くから採用しており、四半期ごとの「M2+CD」の伸びを「増加目標値」として公表、そして、そのターゲットの範囲内に伸びを押さえ込むように通貨管理をしている。イギリスやEUなど他の国ではインフレ目標政策を採用し、インフレ率をターゲットの範囲内に押さえ込むように通貨管理をしている。 市場金利連動型など定期預金やCDとは違った多種多様で仕組みが複雑な金融商品が登場したため、マネーサプライ管理も難しくなっている。いずれもM1にもM2にも属さない新金融商品のため、新たな通貨種類別の分類が必要となってきた。それに伴い「M2+CD」だけでマネーサプライをとらえる意味がなくなってきた。特にそれら新金融商品にマネーシフトが起きたりすると、「管理」の目が行き届かなくなる。これに現金通貨でも預金でもないクレジットカードが普及したため、一段とマネーサプライのとらえ方が難しくなっている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「マネーサプライ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Money supply 」があります。 スポンサード リンク
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