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マハール : ウィキペディア日本語版
マハール

マハール()は、エドガー・ライス・バローズSF小説ペルシダー・シリーズに登場する、架空の知的生命体。
なお、同シリーズの固有名詞については、第7巻(''Savage Pellucidar'')の版権を有している早川書房版の表記に準ずる。

== 生態 ==
翼竜ランフォリンクスから進化した知的生命体であり、全長は2m程度。皮膜の翼と水かきを持ち、空中や水中での活動が可能。聴覚を持たず、音を聞くことができない。その代わりに発達した視力と、自分の意思を狙った相手に投射する能力を持っている。後者はテレパシーに似ているが、目の前にいて位置がはっきり分かっている相手としか交信できず、異種族相手には細かい使用が難しいという欠点がある。この能力を応用して人間などの生物を催眠状態に陥れることも可能である。主に彼らの情報伝達はこの能力と象形文字によって行われる。
このような交信方法をとる故に、彼らは人間の会話を感知できない。また、ギラク(ペルシダーの人類)が文字を持っていなかったこともあり、マハールの中には「人間が言葉を持っている」ことに疑問を持つ者も存在していた。
かつては男性中心の社会を営んでいたが、未受精卵を産卵後に人工授精させる方法が開発されたことにより、男性の役割が不要になった。そのため、物語開始時点では、ほぼ女性のみの社会となっている。この人工授精の秘伝は、一族の最重要機密であり、デヴィッド・イネス(ペルシダー・シリーズの主人公で地上人)が、これを盗み、隠匿した際は大騒ぎとなった。
手術の際には、前足の3本の指でメスを握ることもある。人間を生体解剖することも珍しくない。また、図書館には地図があり、ペルシダーの広大な地域が描かれていた。それには、「地上で海に当たる部分がペルシダーの陸であり、地上の陸がペルシダーの海に当たる」という、凹凸の逆転した世界が描かれていた〔エドガー・ライス・バロウズ 『地底世界のペルシダー』 佐藤高子訳、早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉、1971年、82頁-83頁。
〕〔エドガー・ライス・バローズ 『地底の世界ペルシダー』 厚木淳訳、東京創元社〈創元推理文庫〉、1973年、75頁-76頁。〕。しかし、後にデヴィッドは、この地図に全面的な信頼を置かなくなっている〔エドガー・ライス・バロウズ 『恐怖のペルシダー』 関口幸男訳、早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉、1971年、182頁。〕〔エドガー・ライス・バローズ 『恐怖の世界ペルシダー』 厚木淳訳、東京創元社〈創元推理文庫〉、1977年、167頁。〕。
穴居都市を築いて住んでおり、高度な建築技術を有している。そこで類人猿サゴスを部下として使役し、近隣から捕虜として攫ってきた人間(ペルシダー人)を奴隷として単純労働に従事させている。また、シプダール(プテラノドン)を護衛として養育している。
食性は肉食性であり、魚類のみならず人間の肉も食べる(催眠状態にし、踊り食いを行う事もあった)。ただし、デヴィット達を捕まえた穴居都市プートラのマハール達は、特別な行事の時に他の穴居都市で養殖された人間を食べるのみで、自分たちが奴隷としていた人間は割合大事に使っていた。また、食用の魚を得るために、近隣の人間(アノロック諸島のメゾプ族)の漁民とも平和的な交易を営んでいた。
以下のように、仲間同士や知的生物と認めた相手に対しては、公正で義理を守る文化を持つ。
; デヴィットの場合
: 「鉄製もぐら(創元版では「鉄モグラ」。巨大なドリルの付いた採掘用マシン)」に(敵の陰謀で)無理矢理乗り込まされたトゥ・アル・サは、「機会は有ったのに自分を殺害も異世界(地上)に置き去りにもせず、解放してくれた」事を恩に感じている。トゥ・アル・サは、後にデヴィットが捕虜となった時に彼の助命嘆願を行い、上層部もそれを受け入れた(ただし、トゥ・アル・サは身分の高い女性である)。
; 「闘技場送り」
: 処刑の一種。これを生き延びた者には自由が与えられ、「再び捕らえられることのないよう、肩に焼印(免罪符)を押す」、という処遇を与えている(ただし、「2人の男女が、それぞれの槍だけで、剣歯虎と猛牛と一緒に戦わされる」、あるいは「槍を持った女性と虎の一騎打ち」という、ハンディキャップの大きな戦いであり、人間の勝ち目は薄い)。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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